頻繁に耳にするようになった孤独死。亡くなる方の10人に1人は孤独死とも言われています。
遺族の方にとっても辛い出来事ですが、賃貸物件のオーナーさんにとっても、自分の所有する物件での孤独死というのは賃貸経営を圧迫するリスクです。
いつでも起こりうる物件内での孤独死というリスクを軽減するためにも、孤独死について事前に知識を持って落ちついた対応ができるようにしましょう。
目次
- 孤独死とは
- 孤独死の現状
- 孤独死を自分の物件で発見したらどうするべきか?
- 孤独死物件と事故物件の違い
- 孤独死物件の現状回復と残置物撤去費用のリスク
- 孤独死物件の家賃減額リスク
- 孤独死物件を売却するには
- 「孤独死物件の売却は安くなる?」まとめ
孤独死とは
そもそも孤独死とはどういったものなのでしょうか。
孤独死とは一人暮らしの方が、突発的な病気で誰にも看取られずに亡くなってしまう状態のことです。
孤独死には法律上などはっきりとした定義はなく、独居死や孤立死と呼ばれることもあります。
心筋梗塞や脳梗塞など、自分で身動きが取れないまま死に至るケースが多く、浴槽の中、布団の中等で亡くなった状態そのままで発見されます。
また、一人暮らしのため発見までに時間がかかり、腐敗が進み異臭による通報で発見されることが多いのも孤独死の特徴です。
孤独死の現状
東京23区内で自宅で死亡した65歳以上の一人暮らしの数は、徐々にではあるものの増加傾向にあります。
すでに一人暮らしをしている65歳以上の高齢者は600万人を超えており、核家族化や無縁社会がその背景にあると言われています。
しかも、これはあくまで東京23区内だけのデータであり、全国規模の話になればもっと数が多くなるでしょう。
また孤独死の現在の特徴として、男性の方が社交性が低い傾向にあるため孤独死のリスクが高く、発見までの日数も多くなる傾向にあります。
人口の減少、高齢化を迎えた今、今後さらに高齢者の一人暮らしも増え孤独死も増加するとみられています。ではもし孤独死を発見した場合、どのようにすればいいのでしょうか。
「孤独死の意味とは」
孤独死を自分の物件で発見したらどうするべきか?
自分の物件内で孤独死を発見したときに最初にすることは警察への連絡です。孤独死の場合、警察は事件性が有るか無いかを確認します。
ただし物件内で孤独死が見つかる状況として一番多いのは近隣の住民からの連絡です。
アパートやマンションの場合は異臭がすると、物件のオーナーさんや管理会社へ連絡が来ることがほとんどです。
この時に近くの交番や警察署へ連絡し、状況を説明して警察官に同行をお願いし、一緒に確認してもらうようにしましょう。
物件内で孤独死が発見されると、警察により現場検証が行われます。その間は物件への出入りをすることができなくなります。
その間に孤独死した物件の賃借人の遺族や連帯保証人に連絡をとります。
賃借人の遺族や連帯保証人に連絡が取れたときには、物件に残された荷物の処分、物件の原状回復の費用、残った家賃の支払い等の事務的な打ち合わせが必要になります。
「孤独死の後始末はどうしたらいいの?」
孤独死物件と事故物件の違い
自分の所有する物件で、孤独死が見つかった場合事故物件となってしまうのか気になるところです。
一般的に事故物件とは、自殺や殺人事件などがおきた物件、心理的瑕疵のある物件のことを指します。
自然死や病死の場合は事故物件とはならないのですが、孤独死の場合発見までに日数が経っていることが多く、異臭や警察の出入りなどから近隣の住民に知られてしまいます。
これが心理的瑕疵となるのかどうかというのは、住む人の主観によって変わってくるので一概に事故物件である、事故物件では無いという風に言い切ることができません。
しかし、孤独死がおきた物件を賃貸に出す場合も売却する場合も孤独死の事実を知らせずに契約をすると、後から損害賠償を請求される可能性があります。
あらかじめ物件内での孤独死の状況をしっかりと説明しておくことが、その後のトラブル回避に繋がります。
孤独死物件の現状回復と残置物撤去費用のリスク
孤独死した物件は発見までに時間が経っている場合が多く、死臭や体液が染み付いてしまいます。こうなると一般的なハウスクリーニングでは対応することができず、ほとんどの場合特殊清掃が必要になります。
孤独死した物件の特殊清掃の場合、ニオイの除去がメインとなるのですが、体液の染み付いた床などは完全にニオイを除去することが難しく、床材、下地となる木材まで交換が必要になることもあります。
臭いの除去だけであれば、数万円〜20万円ほどで済みますが、張替えとなると費用も高額になり、安くても50〜60万円。
高い場合は100万円を超えることもあります。それに加えて原状回復の期間も長くなり、長期間物件への入居者がいない状態になります。その間の家賃も大きな負担となります。
この高額になる物件の原状回復費用や家賃を、孤独死した方の遺族や連帯保証人に負担してもらわなければ、物件を所有するオーナーにとって大きな損害となります。
しかし現実には、連帯保証人に資力が無いことも多く、請求しても支払ってもらうことができないこともあります。
また、孤独死した方の遺族の方に相続の放棄をされてしまうと遺族には請求することができなくなってしまいます。
それ以外にも、孤独死が起きた物件に残された家具等の残置物の撤去にも注意が必要です。
遺族の方が、きちんと物件内の清掃や残置物の処分を行なってくれれば問題無いのですが、費用の問題からこれを拒否する場合があります。
特に遺族が相続の放棄をした場合は、一切手をつけないことがほとんどです。こういう孤独死に備えて、物件ごとに保険へ加入することが必要になります。
特殊清掃を業者に依頼する時には遺品整理ドットコムを利用する
特殊清掃が必要になった場合、悪臭や害虫により周辺住民の方に迷惑を掛けてしまうので「緊急でとにかく早く対処して欲しい!」という要望が多いと思います。
しかし、いくら緊急とはいえ、焦って業者を選んで悪質な業者に依頼してしまっては意味がありません。
では、なるべく時間を掛けずに安心できる業者を選ぶためにはどうすれば良いのでしょうか?
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孤独死物件の家賃減額リスク
物件内で孤独死があった場合、宅地建物取引業法上では説明義務はありません。事件や自殺の場合のみ心理的瑕疵として説明義務が課されています。しかし、孤独死があったこと告知せずに、後々周囲の住人から知らされて、損害賠償請求されることもあります。
これは不動産会社も同じように損害賠償請求されるので、大手の不動産会社は孤独死した物件も告知を行なっているところがほとんどです。
そのため、孤独死があった物件だということを知った上で契約をしてもらう必要があります。
その場合、物件の立地や条件にもよりますが、家賃を近隣相場と同等で維持するのは難しくなります。
同じような間取り、広さ、環境、家賃の物件があった場合、孤独死があったという事実が最終的に判断基準になってしまうのです。
そうなると必然的に自分の所有する物件の家賃を下げざるを得なくなります。
リノベーションをして、物件の付加価値をあげて家賃を維持することも考えられますが、工事費用、その間の家賃相当額の負担。
工事完了後に物件に孤独死があった事実を知った上で入居者が確実に入るかどうかも不確定なため、かなりのリスクを負う覚悟が必要になります。
そうであれば、物件の家賃を下げて早めに入居者を確保する方が負担は少なくて済みます。
孤独死物件を売却するには
孤独死した物件を何らかの理由で売却する場合も同じように宅地建物取引業法上の説明義務はありません。
しかし、事故物件ではないとはいえ、孤独死があった物件だということを告げないまま売買契約をしてしまうと、賃貸契約時よりも高額な損害賠償請求をされる可能性があるため、大手の不動産仲介会社は孤独死があった事実を告知しています。
そのため、孤独死物件を売却する場合もやはり価格が下がってしまいます。
一般的に2割〜3割程度安くなると言われていますが、不動産買い取り会社の場合は、孤独死があったというだけで相場の半額以下になることもあります。
孤独死した物件を売却する場合は状況によって、買い取りか仲介かを選ぶといいでしょう。
相続などで、早く現金化したい場合は相場よりも安くなる覚悟で買い取り会社に依頼する。
早く現金化する必要が無い場合、少しでも高く売却したい場合は、仲介会社に依頼するという風に、その時の状況によって、売却方法を選択するようにしましょう。
孤独死物件を仲介会社に売却依頼する場合
大手の仲介会社数社に依頼するようにしましょう。大手の不動産会社の方がネットワークが広く、孤独死物件を取り扱った経験が豊富です。
また仲介契約には専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類の契約形態があります。複数の会社に依頼できる一般媒介契約をすることで、多くの不動産会社に依頼することができます。
孤独死物件を不動産買い取り会社に依頼する場合
最近では中古の不動産を買い取って、リフォームをして販売する会社が増えています。
こういった会社の場合、物件数が少ない時など、物件数増やすために孤独死があった物件でも高めに買い取ってくれる場合もありますし、孤独死があった物件を事故物件と見ない会社もあります。
買い取り会社によって買い取り価格が異るため、複数の会社に買い取り価格を提示してもらうようにしましょう。
「孤独死物件の売却は安くなる?」まとめ
人口減少、超高齢化と言われる今、孤独死はさらに増え続けることが予想されます。単身世帯が増えで孤独になりがちな社会である以上、孤独死はなくすことは難しいでしょう。
孤独死が起きた物件は賃貸時も売却時も価格が下がる傾向にあります。また原状回復費用なども大きな負担となってきます。
これからの時代、こういった孤独死のリスクをあらかじめ想定して、保険への加入や入居審査をおこなう必要があります。
孤独死について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください!
