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投稿日:2017年06月01日 更新日:2021年03月30日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
遺産相続はどの家庭でもいずれは通らなければならない道です。しかし、行う必要があると分かっていても、いざ不幸があった後、いつまでに遺産相続を行わなければならないのか、分からないのではないでしょうか。
いつまでも遺産相続しなくても良いと考えている方は少ないと思いますが、それでは一体いつまでに行えば良いのでしょうか。さらに、「家督相続」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
遺産相続において家督相続とはいったいどのような事を意味するのでしょうか。家督相続とは現行の民法でも定められており、遺産相続する際に家督相続を選択することはできるのでしょうか。
遺産相続とは、どのようなことを言うのでしょうか。遺産相続を簡単に説明すると、「死後に残された財産を受け継ぐこと」を意味します。
この場合の「財産」には現金や株券、不動産といったプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれています。
遺産相続の方法については事細かに民法に規定されています。遺産相続がいつ始まり、誰が相続人となり、どのような割合で遺産相続するのかは全て民法に規定されているのです。
遺産相続はいつまでに行わなければならないのでしょうか。実は、遺産相続をいつまでに行いなさいという法律はありません。
しかし、遺産相続に関する各種手続きにおいて、細かく期限が存在するのです。
一言で遺産相続と言っても、その種類方法3種類あります。それは、「限定承認」、「相続放棄」、「単純承認」です。
そして、いつまでに上記の方法を選択しなければならないかと言いますと、遺産相続発生後、3か月以内に決める必要があります。
冒頭でもご説明した通り、遺産相続の対象はプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれております。よって、もし被相続人に莫大な借金があるにもかかわらず、何の手続きもしないと、相続人となったあなたもその借金を背負わなければならなくなるのです。
自分が借金したわけでもないのに、突然借金を抱えるなんて通常受け入れられないですよね。そんなことにならないために、限定承認や相続放棄という方法が法定されています。
相続放棄はその名のとおり、相続を放棄することです。つまり、初めから相続人ではなかったこととされ、プラスの資産もマイナスの資産も相続する必要する必要はありません。
しかし、例えば1億円のアパートを所有し、1億5,000万円の借金がある場合に、アパートも失ってしまうのは少し勿体ないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「財産は相続したいけれど、借金は背負いたくない」という時に有効な手段が「限定承認」という遺産相続方法なのです。
限定承認とは、プラスの財産の範囲で、マイナスの財産を相続する遺産相続方法です。
よって、前述した1億円のアパートと1億5,000万円の借金という遺産相続財産がある場合は、1億円のアパートと1億円の借金を遺産相続することとなるのです。
その他、被相続人の財産についてはっきりと分からない場合にも限定承認をした方が良いでしょう。もしかすると、将来あなた方が把握していない莫大な借金が見つかる可能性もあります。
そのような時に限定承認をしていれば、その借金はプラスの財産の範囲内で負担すればよいのです。もしも遺産相続の方法について、3か月以内に限定承認も相続放棄もしない場合は自動的に単純承認となり、すべての財産を遺産相続することとなります。
一定の額を超える遺産相続をする場合は、相続税の申告を税務署に行う必要があります。その申告を相続発生後10か月以内に行う必要があります。
これを怠ると、以下のような不利益を被ることとなるので注意が必要です。
遺産相続によって引き継いだ財産に対する相続税の申告を怠った場合、本来納付すべき相続税に対し、15%の割合で加算されます。
遺産相続後、10か月を過ぎても相続税の納付をしない場合、その納付期限の翌日から相続税を納付するまでの期間に応じ、未納の税額に年14.6%の割合を乗じた金額が加算されます。ただし、納付期限から2か月を経過する日までは7.3%の割合を乗じます。
遺産相続によって引き継いだ財産に対する相続税は、現金だけではなく、一定の相続財産で納税することが認められています。
この一定の相続財産で納税することを「物納」と呼びます。
有価証券や不動産などを現金の代わりとして納税することが可能となり、例えば不動産ですと売却までに時間を要すことが考えられますが、売却せずとも納税が可能となるため、便利な納税方法です。しかし、相続税の申告を怠ると相続税の物納はできなくなってしまいます。
配偶者には遺産相続に対し特別な例外が認められており、法定相続分又は1億6,000万円のいずれか大きい方までの財産を取得しても相続税がかからないのです。しかし、相続税の申告を怠るとこの配偶者の税額減税の特例は使えません。
相続人の人数や財産の額や、遺産分割の方法の選択によっては納税額が数千万円の差が生まれることもありますから、税理士等の専門家へご相談された方が良いでしょう。
民法では、一定の相続人には遺言によっても侵害することができない最低限の相続割合が規定されています。これを「遺留分」と呼びます。
例えば、「ある特定の人物に財産のすべての財産を譲る」といった遺言を残した場合、他に相続人が存在する場合は、「相続人の遺留分を侵害している」ということになります。
そして、遺留分を侵害された相続人が「遺留分減殺請求」を家庭裁判所に申し立てると、その遺留分を侵害された部分で遺言が無効となります。
反対に、遺留分減殺請求を行わなければ、その遺留分を侵害した遺言は有効なものとして扱われ、相続人は以後意義を申し立てることができなくなるのです。
そして、遺留分減殺請求をいつまでにしなければならないかと言いますと、遺産相続が始まったことを知った時から1年以内に申し立てる必要があります。
遺産相続における遺留分を理解する際に、まずは誰が遺産相続において相続人となるのかを理解する必要があります。相続人はすべて民法に規定されており、以下説明する相続人以外に相続人となりうる人はいません。
必ず相続人 | 配偶者 |
---|---|
第一順位 | 直系卑属(子、孫、ひ孫・・・・) |
第二順位 | 直系尊属(親、祖父母、曾祖父母・・・) |
第三順位 | 兄弟姉妹(その子供まで。兄弟姉妹の孫は代襲相続不可) |
遺産相続において、配偶者は必ず相続人となり、他の親族の誰が相続人となるのかが問題となります。
その把握は簡単で、第一順位がいない場合、第二順位が相続人となり、第二順位がいない場合に第三順位が相続人となります。よって、それぞれ別の順位の者が同時に相続人となることはあり得ないのです。
遺産相続における相続人は以上の3種類の人間に限定されますが、第三者に財産を引き継ぎたいといった場合は、遺贈という方法によって行われます。
遺贈による場合も、相続人の遺留分を侵害することはできませんので、注意してください。
遺産相続の対象となる相続人の中でも、遺留分を持たない相続人がいたり、遺留分の割合についても差があったりと、すべての相続人が平等なわけではありません。各相続人の遺留分の割合については以下のとおりとなります。
配偶者と第一順位 | 配偶者が1/4、第一順位が1/4の合計1/2 |
---|---|
配偶者と第二順位 | 配偶者が1/3、第二順位が1/6の合計1/2 |
配偶者と第三順位 | 配偶者が1/2、第三順位はなしの合計1/2 |
配偶者のみ | 配偶者が1/2 |
第一順位のみ | 第一順位が1/2 |
第二順位のみ | 第二順位が1/3 |
第三順位のみ | なし |
家督相続とはどのような事を意味するのでしょうか。実は、家督相続とは戦前までは民法に定められていた正式な遺産相続方法の一つでしたが、現在は家督相続による遺産相続は認められていません。
旧民法において、家督相続とは、戸籍上の家の長が持っていた地位を、次に戸主となるものが一人で継承すると定められていました。そして、その戸主となるものは、基本的に嫡出長男子です。
嫡出子男子は、その家の財産すべてを遺産相続(家督相続)し、家の財産を守り、一族のリーダーとして一族を護る立場となります。原則として嫡出長男子がいる場合には、配偶者やほかの子供は遺産相続することはありません。
よって、先ほどご説明した遺留分はないということになります。さらに、現在の遺産相続制度と異なる部分として、家督相続制度の下では戸主の死亡に関わらず家督相続することができるということです。
例えば、時代劇などで親が子に家督を譲る場面を見たことがあるのではないでしょうか。それがいわゆる死亡を理由としない家督相続の一例です。
その他、入夫婚姻という遺産相続原因もありました。入夫婚姻とはいわゆる婿養子のことです。
戸主が別の戸籍に入ることにより、元の一族の戸主が存在しなくなりますから、入夫婚姻によっても家督相続が行われます。
家督相続するのは「嫡出子男子」であると法定されていました。それでは、嫡出子男子が他界、または男性がいない場合は誰が家督相続するのでしょうか。
それも、すべて以下の様に法定されていました。
第一順位 | 前戸主の直系卑属。複数いる場合は、前戸主と親等が近い者が家督相続する。 |
---|---|
第二順位 | 前戸主が生前指名した者が家督相続する。 |
第三順位 | 前戸主の父母や親族が、同戸籍の家族から選定した者が家督相続する。 |
第四順位 | 前戸主の直系尊属(親、祖父母、曾祖父母・・・)が家督相続する。 |
第五順位 | 前戸主の親族が本家・親族・分家の戸主または本家・分家の家族もしくは第三者の中から選定した者が家督相続する。 |
第四順位までは一般的な財産継承方法かと思いますが、第五順位で「分家」や「第三者」も戸主に就任可能となっていることから、いかに戸主が絶対視されていたかが分かります。
なお、現在では相続人がいない場合の遺産相続については、遠縁の親族に引き継がれることはなく、国庫に帰属することとなります。
現在において家督相続することはできないのでしょうか?遺産相続において、各相続人には遺留分という権利がありますから、一見して特定の一人に財産を全て相続するのは難しいように思えます。
しかし、各々の相続人が遺留分を放棄し、特定の一人に対する遺言もしくは遺産分割協議に同意すれば、特定の一人がすべての財産を引き継ぐことができ、いわゆる家督相続することが可能となります。しかし、注意しなければならないのは相続税です。
金額によっては莫大な金額の相続税を支払う可能性があるため、家督相続するべきかどうか、専門家と相談してください。
遺産相続において家督相続という制度は廃止されましたが、実は、不動産登記において家督相続という文言は残っています。
家督相続を原因とした不動産登記は戸籍を添付すれば足り、他に資料を用意する必要がなく、大変簡易に行うことができます。
なぜ戸籍の添付のみで足りるかといいますと、家督相続の制度が残っていた時代の戸籍には、家督を継いだことが記載されているからです。
もちろん、現在では家督相続制度は廃止されており、遺産相続をしても、戸籍に家督に関する記載がされることはありません。では、なぜ現在も家督相続を原因とする不動産登記が可能かといいますと、家督相続が廃止される以前に家督相続を行ったものの、不動産登記をしていない場合があるからです。
特に戦後の混乱期ですと、戸主の生存が明らかではないなど不動産登記どころではなく、遺産相続や家督相続もままならない状況であったのではないでしょうか。
家督相続が廃止されたのが昭和22年5月2日ですから、70歳以上の人は(平成29年5月7日現在において)家督相続している可能性があります。
よって、向こう数十年においてまだまだ家督相続を原因とする不動産登記は行われることでしょう。
遺産相続はいつまでに行う必要があるのかを説明させていただきましたが、どちらかというと、「いつまでに行う必要がある」というよりは、「いつまでに行ったほうが損しない」といった言い方のほうが正しいかと思います。遺産相続に関する各種手続きが遅くなればなるほど、損をする可能性が高まります。
特に、プラスマイナスの財産が多ければ多いほどその影響が高くなります。よって、将来に対するリスクを減らすためにも、限定承認を行い、想定外のマイナスの財産を遺産相続しないようにしたほうが良いでしょう。
家督相続も現在では法定されていませんが、遺産相続の方法によっては家督相続と同様の効果をもたらすことは可能です。
是非専門家と相談し、最適な遺産相続方法を見つけてください。
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