オコマリブログ - 身近なお困りごとを解決します。
投稿日:2017年05月13日 更新日:2021年03月30日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
性格の不一致や、ドメスティックバイオレンス、相手や自分の不倫。様々な理由で離婚を経験した方はたくさんいらっしゃいます。
ここではそのような方々が、特に気になること、離婚と相続について、離婚経験者は必ず知っておいた方がよい知識を整理してみたいと思います。
離婚と相続問題が増加している理由に離婚件数の増加もその一因となっています。
1950年以降の離婚件数の年次推移をみると、1967年までは6万9千組~8万4千組で推移していました。1984年から1988年に減少したものの、2002年の29万組まで増加傾向となりました。
2003年以降は減少に転じ、2008年は25万組となっています。2007年のデータで見てみますと、「2分に1組が離婚していて、毎日705組が離婚している。」計算になるそうです。
1年に結婚するのは70万~74万組程度です。つまり、「結婚した夫婦の3組に1組強は離婚している」ということになります。今般、離婚は珍しいことではないと言う事です。
[caption id="attachment_4834" align="aligncenter" width="958"] クリックして拡大[/caption]ここで、親権が絡む離婚をする方の離婚数を見てみます(データは厚生労働省平成21年度「離婚に関する統計」の概況から)。
未成年の子がいる夫婦 | 143,834組 |
未成年の子がいない夫婦 | 107,302組 |
離婚家庭全体でみると子供のいる家庭の方が、離婚している方々が多いということですね。
離婚と相続の問題でなぜ、子供がいるのか、いないのかのデータをお見せしたかと言いますと、このことが離婚と相続に関して、大きな意味を持つからです。(ここでは未成年のこのデータをお見せしていますが、相続に関しては、成年者でも関係してきます。)
まずは、離婚と相続に関する民法の条文を3つだけ紹介致します。
第一章:総則
第八百八十二条:相続は、死亡によって開始する。
第二章:相続人
第八百八十七条:被相続人の子は、相続人となる。
第七百二十八条
1項:姻族関係は、離婚によって終了する。
2項:夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
この3つの条文を頭において、次からの話を見ていきましょう。
まず、亡くなったのが、元旦那様のケースを仮定します。
相続と離婚の問題でまず一番気になるのは、離婚した奥様は、元夫の財産を相続する権利が自分にあるのかと言う事だと思います。
結論を言いますと、相続は血縁関係が重視されるので、離婚した奥様は財産を相続する権利がありません。
先に述べました、「民法728条第1項の婚族関係は離婚によって終了する。」の効果によって、離婚された奥様は、元夫の血縁関係を失ってしまうからです。では、一体誰が元夫の財産を相続するのでしょうか。
ここで、誰が元夫の財産を相続する権利を有するのかを見てみましょう。
法律で相続を受ける権利のある方のことを法定相続人と言います。まずは法定相続人の説明から始めます。
法定相続人とは、民法で定められている遺産を受け取れる可能性がある範囲の人つまり、相続人のことです。
法定相続人にはそれぞれ遺産を受けとれる順位が決められています。必ず法定相続人になれる人は被相続人の配偶者、妻や夫であり、優先順位の高い上位者から相続が行われます。
つまり下位の相続者は遺言がない限り、上位者より優先して相続が行われることはないと言う事になります。
相続人の範囲や、法律で定められた相続分は、民法で定められています。
まず配偶者、妻や夫は常に相続人となります。配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と共に相続人となります。
ただし、離婚が成立している場合の配偶者は、相続人としての権利がないことは先に述べたとおりです。
相続人の順番第1位は死亡した人の子供です。被相続人が亡くなったとき、すでにその子供が死亡している場合は、その子供の子供や、孫に相続権が移ります。
死亡した人により、近い世代の方を優先します。
ここで問題になるのは、元夫とその子供が同時に亡くなった場合です。
例えば、元夫と、わが子が一緒に冬山登山に行ったとしましょう。その後遭難をして、2人は帰らぬ人となりました。
あなた(元妻)と同居している子供の子供つまり、孫には元夫からの相続は発生するのでしょうか。
実際には、元夫が息子より先10分間、先に死亡したとします。この場合は、相続財産は、(元夫)から(息子)、(息子)から(孫)に移動することになり、元夫から孫への相続は発生するという事になります。
しかし、検証でどちらが先に亡くなったのか、誰にも分からない場合、同時死亡の推定が働き、2人は同時刻に死亡したことになります。この場合は、子供に相続権は発生しません。
あなたと同居している孫には、息子の財産のみが移動することになります。
ただし、あくまで推定ですので、後日、元夫の死亡が先だったと、証拠を示せば覆すことは可能です。(例えば、一緒に遭難して助かった方が目撃していた場合など)
第二順位は、亡くなった方の直系尊属、父か母又は祖父母のことです。死亡した人に父母、祖父母がいらっしゃる場合は、より近い世代の父母が優先されます。
なお、第一順位の方がいないときしか相続権は発生しません。亡くなった息子に子供が居ない場合、第二順位の方には息子からの相続がありますが、子供が居た場合息子からの相続はないということになります。
第三順位の方は、亡くなった方の兄弟姉妹です。その兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、兄弟姉妹の子供が相続人になります。
なお、第一順位、第二順位ともにいないときにしか相続権はありません。
たとえ、上位の方が生きていても、その方が相続放棄をしていれば、その上位の方は初めからいなかったことになります。内縁関係の妻も相続人には含まれません。
離婚前であった場合は、配偶者2分の1、子供たちが残りの2分の1となります。離婚後であれば、子供たちが100パーセントとなります。
子供が居ない又は亡くなっている場合、先程ご紹介したように配偶者と直系尊属が相続の対象となります。直系尊属とは、元夫の父、母のことです。
離婚前であった場合は、配偶者3分の2、直系尊属が残りの3分の1となります。離婚後であれば、直系尊属が100パーセントとなります。
子供や直系尊属が居ない場合、第3位の兄弟姉妹が相続の対象となります。兄弟姉妹とは、元夫の兄弟姉妹のことです。
離婚前であった場合は、配偶者4分の3、兄弟姉妹が残りの4分の1となります。離婚後であれば、兄弟姉妹が100パーセントとなります。
法定相続割合とは、相続人間で、遺産分割協議を行って、話し合いがつかなかった時の割合であり必ずしも、法定相続分通り分けなければならないわけではありません。
しかし、離婚が成立している場合、元妻は遺産分割協議には呼ばれません。元妻は子供が未成年の場合のみ、子供を代理して遺産分割協議に参加することになりますが、本人に相続分が発生することはないでしょう。
離婚と相続の問題で、離婚をしたあなたと配偶者の間には、子供がいたとします。その子が二人の間に生まれた実子であれば、問題なく、亡くなった方の相続人となります。
ですが、もともとその子はあなたの連れ子だった場合には、結婚していた時の状況で話が変わってきます。
残念ですが、子供に相続権が発生しません。
養子縁組をしていた場合、実子と同じ割合で何の変りもなく相続が受けられます。
これから連れ子同士や、子連れで結婚される方は、将来のことを考えて養子縁組を考えておいた方がいいですね。人の心はどう変わるかわかりません、もしもの時のことを考えて行動しましょう。
養子に出した子は、誰の財産を相続するのでしょうか。養子縁組をした場合、養子(普通養子)に入った父母と、実の父母と両方の財産を相続することになります。
もう一つの養子として、「特別養子縁組」というものがあります。この場合は、普通養子と変わってきます、ご説明しましょう。
ここでは、一覧表にしてその違いを記載しますので参考にしてください。
離婚と相続問題 | 普通養子 | 特別養子 |
---|---|---|
縁組の目的 | 当事者の都合で考える、契約となる | 実の親が様々な理由で子供を育てることができない場合に適用される。それ以外では、代理母出産の場合もある |
養子になることができる年齢 | 養親よりも年少者である者 | 申し立ての時点で6歳未満。 ただし、6歳未満から養親に育てられていた場合、8歳未満となる (*1) |
養親の年齢 | 未婚でも成年に達していれば、問題なし | 婚姻をしていること。かつ、一人が25歳以上、もう一人が20歳以上であること |
実の親との関係 | 実の親と養親との二組の親を持つことになる | 実の親との縁は消え、養親のみの関係となる。そのため、実の親の家系との近親婚が問題となることもある |
戸籍の表記 | 実の親と、養親ともに記載される | 養親のみが記載される。しかし、いつ裁判により、入籍したかはわかる。つまり、戸籍を見れば、養子であることはわかる |
相続 | 養子は実の親と、養親の双方の相続権を得るが、扶養義務も負う | 養親のみの相続権を得て、扶養義務を負う |
離縁(養子縁組の取り消し) | 養子が15歳以下であれば、養子、養親の合意の下で離縁可能。 養子が15歳以下であれば、養子の法定代理人が必要 | 離縁はできないが、DVなど特別な事情があれば、養子、実親、検察官の申し立てにより可能 |
縁組の申し立て | 家庭裁判所への申し立て。家庭裁判所が養親を調査し、実の親の意見を聞いたうえで認めるかどうか判断する | 家庭裁判所への申し立て。家庭裁判所が養親を調査し、実の親の意見を聞いたうえ、実の親の状況を確認したうえで、認めるかどうか |
*1:「16歳未満だと実の親の記憶が残らないであろう」との考えからと言われている。
離婚して、相手に引き取られた子に自分の財産を相続させたくないというと、ひどい話に聞こえがちです。
しかし、相手の再婚相手が大金持ちで、こちらは家屋敷しか財産がない場合、相手に引き取られた子は、将来何不自由なく暮らせます。
ですが、こちらの子供は将来お金も残せないうえ、相手に引き取られた子にも相続の権利が有るため、家屋敷までとられかねないという状況になりかねません。
また、相手が引き取った子は相手の連れ子で、自分とは血縁関係がない場合などもあります。
そのような場合で取れる手段を考えてみましょう。
引き取られた子に相続をさせない為には、遺言書を作成しておき、財産をどうしたいのかを指定しておくことです。その中で、全財産を自分のもとにいる子供(自分が引き取った子か、後妻の子など)だけに相続させると記載します。
本来こういうものは公正証書遺言にすることが望ましいと言われますが、遺留分を無視した遺言書を作ることとなりますので公証人が難色を示す可能性かあります。
出来れば、法律家に見てもらって自筆証書遺言にするか、公証人とじっくり話し合って作成しましょう。
遺言書で「1円も渡さない。」と書いてあっても、法律で「最低限これだけはあげなさい。」と、決められた金額があります。これを遺留分と言います。
この金額は、本来もらえる法定金額の半分と決められています。子供や、妻は、遺言書に何と書いていようが、この遺留分に相当する額は請求する権利があります。
では、なぜこのような権利があるのでしょうか。
例えば、死を直前にした夫が、「愛人に全ての財産を渡す」と書いていればどうなってしまうでしょう。
幼い子供を抱えて妻はわずかなお金と共に家を出ていかねばならなくなるかもしれません。そんな不幸をなくすための法律です。
遺留分を請求することを、「遺留分減殺請求権の行使」と言います。この遺留分請求しないことも自由です。
そのため、相続人は行使されるのか、されないのか、心配しながら暮らすことになります。この状態がいつまでも続くのは不都合があります。
ですので、法律では、請求できる期間に制限を設けています。自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年間、又は相続が発生した日から10年間となっています。
引き取られた子に相続させないもう一つの方法として、自分が引き取った子供や後妻に、毎年一定額の生前贈与をしていくという手があります。特例適用がある場合を除いて、毎年、110万円までは受け取った方に贈与税がかかりません。
ただし、亡くなる3年以内前に贈与したお金は相続の一部とみなされます。念のため、会計士に相談するなどして、間違いのない方法を取った方が無難ですね。
いかがでしたでしょうか、初めから別れるつもりで結婚する方はいないでしょうが、離婚と相続にはいろいろ大変な問題が発生します。
その場の雰囲気で後のことはどうでもいいと離婚をしてしまい、その後どうしようもなくなってお悩みななられる方はたくさんいます。
すぐに別れたいと思っても、いったん落ち着いてじっくり考えて行動することが大切です。
客観的に見ていただける第三者の法律家にアドバイスをもらうのもいい方法です。お金を払って法律家に相談するのは、お金がもったいないという方もいますが、後々のことを考えれば、結果的にはお得になると思います。
この記事を読んで、離婚と相続問題に冷静に対処していただければ幸いです。
生前整理のことについて、わからないこと・不安なこと・他人には相談しづらいことなどおありかと思います。オコマリでは生前整理について、予算・スケジュール・安心できる業者なのか、など様々なご質問に生前整理に詳しいベテランのスタッフが親切丁寧にお答えし、お客様の不安を解消いたします。