遺品整理と生前整理は、住んでいる方が亡くなった後に行うのか、亡くなる前に行うのかというのが一番シンプルな違いです。しかし、遺品整理と生前整理では目的が異なるために、実際の作業内容を見てみると違いがあるのが事実です。
下記には、遺品整理と生前整理の違いについて、時期・やること・キッカケ・費用という4つの側面から比較した表を作成してみました。
違い | 遺品整理 | 生前整理 |
---|---|---|
時期 | 住んでいる方が亡くなった後に行う | 元気があるうち(亡くなる前)に行う |
やること | ・遺品の仕分け ・遺品の片付け ・遺品の売却 ・遺品の処分 |
・物の仕分け ・物の処分 ・物の売却 |
キッカケ | 賃貸で退去をする必要があるためや、解体、相続といった手続きを行うため | 介護施設への入所や子供との同居の為の引っ越しや介護を自宅で受けるため |
費用 | 自分で行う場合には1K/1Rは10,000円~、業者に依頼する場合には1K/1Rは18,000円~ | 遺品整理と同様 |
遺品整理と生前整理の違いを知ることは、自分自身や自分の親の遺品整理や生前整理を考えることに役立ちます。今回は、遺品整理と生前整理の違いに焦点を当てて解説をしていきたいと思います。
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遺品整理と生前整理の違いの1つ目は、時期です。遺品整理と生前整理の大きな時期の違いは、遺品整理は亡くなった後に行うもので、生前整理は亡くなる前に行うものであることは漢字からも読み取れるかと思います。
この時期に関する遺品整理と生前整理の違いだけでは、具体的に遺品整理と生前整理を行う適切な時期がわかりにくいので、ここでは遺品整理と生前整理のそれぞれの実施時期についてをお伝えしていきたいと思います。
遺品整理の時期として一番多いのは、「賃貸で次に家賃が発生するまで」というものです。
これは遺品整理をする必要がある部屋や家が賃貸の場合に限られる話ではありますが、遺品整理を行う方の半分の方は持ち家ではなく賃貸のために「新しい家賃が発生するまで」を遺品整理の時期として置いているのです。
次に多いのが「四十九日を過ぎてから」というものです。これは持ち家の場合に多い遺品整理の時期になります。亡くなった方がやはり天国に旅立ってから遺品整理をしたいという声が多いことから、2番目に入っています。
その他であるのが、「売却をしたので明け渡し日まで」「心が落ち着いてから」というものです。
誰かが亡くなると相続の手続きや行政の手続きなど様々な亡くなった方に関する手続きが発生してきて、住んでいた部屋の遺品整理をしないことには必要な書類が揃わないという事も少なくありません。
したがって、遺品整理の規模に違いはあれど、どの方も遺品整理という行為は必ず行うというのが現状だと言えるでしょう。
生前整理の時期として一番多いのは、「施設に入所するまで」「親と一緒に住むまで」という引っ越しの期日までというものです。
実は生前整理は、普段生活している拠点が移らないのであれば多くの方は行いません。生前整理の一環として捉えられることもある「エンディングノートを書く」「遺言書を作成する」「生前贈与を行う」といったものであれば、拠点が移らなくても行う方はいらっしゃるのですが、片付けを伴う生前整理はそうではないのです。
生前整理は「適切な時期」というものが遺品整理ほど存在していません。したがって、自分が必要だと思うタイミングで行うのが良いということになります。
遺品整理と生前整理の違いの2つ目は、やることです。遺品整理も生前整理も「物を片付ける」という点では合致しているのですが、遺品整理と生前整理では具体的な片付け方が異なるのです。
上記には遺品整理と生前整理でのやることの違いをまとめてみました。
まず仕分けですが、遺品整理については相続や形見分けを意識した仕分けを行うため、株券や土地の権利書、貴金属類をいったお金の価値があるものか、遺族にとって思い出のあるものが仕分けをして「取っておく」となる対象になります。したがって、故人が大切にしていたコレクションでも価値のない物(例えば牛乳瓶のふたやプラモデルなど)は「不要なもの」として判断されてしまいます。
一方の生前整理では、目的としては「新しい住居で必要なものを仕分けする」ことになるので、遺品整理では不要だと判断されがちな趣味のものなども生前整理では「必要」だと判断されることが多いのです。もちろん、福祉施設に入所するケースでは最低必需品以外には持っていけないことが多いので、趣味の物も処分する必要がありますが、子供と同居する場合や部屋で在宅介護をするための生前整理では捨てることはないでしょう。
また、処分するにしても遺品整理ではアルバムや人形などを供養して処分するケースが多いですが、生前整理ではそのまま捨てる場合が多くあります。この遺品整理と生前整理との違いは、自分のものなのか故人のもの(他人のもの)なのかに起因するでしょう。やはり自分のものでないものを何も感じずに捨てられない人が供養を行うケースが多いのです。
最後の片付けで「不要」と判断される量については、遺品整理のケースでは9割ほどが「不要」となるのに対して、生前整理では多くても7割くらいになっています。したがって、生前整理ではの方が「必要」として取っておくものが多いと言えます。
遺品整理と生前整理の違いの3つ目は、始めるキッカケです。遺品整理を始めるキッカケについては、「遺品整理と生前整理の時期の違いとは?」でお伝えしたように「相続が発生するから」「退去が迫っているから」「受け渡し日が決まっているから」というものでした。特に「退去が迫っているから」「相続が発生するから」という2つのキッカケは遺品整理を始めるキッカケの8割くらいを占めるでしょう。
相続については、「相続放棄」を行うのであれば3か月以内に行う必要があり、相続の権利が発生したらスムーズに手続きをしないといけません。このような背景が遺品整理の始めるキッカケを作っているともいえます。
一方の生前整理は、「子供と一緒に暮らすことになったから」「施設に入所することになったから」というキッカケがほとんどです。引っ越しの期限が決まったら、そこまでに行わないといけないという点においては、遺品整理の退去と同様にスムーズに生前整理を行う必要があります。
遺品整理と生前整理で費用・料金には違いはほとんど無いと言って良いでしょう。下記には、間取り別に自分で遺品整理や生前整理を行う場合と業者に依頼して遺品整理や生前整理を行う場合での料金・費用相場表を記載しました。
間取り | 業者の料金相場 | 自分でする場合の料金相場 |
---|---|---|
1K/1R | 18,000~100,000円 | 0~100,000円 |
2K/1DK | 36,000~150,000円 | 10,000~150,000円 |
1LDK・2DK | 58,000~250,000円 | 30,000~250,000円 |
2LDK・3DK | 76,000~350,000円 | 50,000~300,000円 |
3LDK・4DK | 94,000~450,000円 | 70,000~350,000円 |
自分で遺品整理や生前整理をする方が、業者に依頼して遺品整理や生前整理を行うよりも安いように見えますが、ケースバイケースだという点は押さえておきましょう。
遺品整理や生前整理は自分たちで行うとすると費用は安く済みますが、時間は非常に多く取られてしまいます。例えば1K/1Rの遺品整理や生前整理を例に取ってみても、業者に依頼すれば大概の場合1日では終わりますが、自分たちで行うと2~3日はかかってしまいます。遺品整理や生前整理を行う場所の近くに住んでいれば良いですが、遠方に住んでいる場合には旅費や交通費が必要になることがわかるでしょう。そうなると業者に依頼してサクッと完了してもらう方が安くなる可能性も大いにあるのです。
遺品整理業者と生前整理業者は違う業者のように見えますが、実は同じ業者がどちらも兼ねていることが多いのが実態です。そういう意味で、遺品整理業者も生前整理業者も作業内容の質は同じであることが多いのです。
遺品整理と生前整理の違いとしては「時期」「キッカケ」「やること」をここまで取り上げてきましたが、「費用」については殆ど同じだとお伝えしました。このことから、遺品整理業者も生前整理業者も同じ業者が兼ねていることが多いのです。
もちろん業者によっては、「供養」を行っていないというサービス面での違いはあるとは思いますが、遺品整理と生前整理のメインの作業でもある「物の仕分け」「物の片付け」といった部分は共通しているのです。
「遺品整理業者」と検索しても、「生前整理業者」と検索しても同じ業者が出てくることは決しておかしい事ではなく、兼業しているという意味では普通の話なのです。
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