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投稿日:2017年07月18日 更新日:2021年03月30日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
特別養護老人ホームと有料老人ホーム、ケアハウスと老人デイサービスセンター、似たような印象を受けますが、実はまったく違います。
高齢者の福祉を目的とした老人福祉施設には、さまざまな種類があり、それぞれに法律というバックボーンがあります。
もちろん、法律で定められた範囲の外で運営されている介護施設もなくはありません。しかし、そのような介護施設は、介護保険が適用されず、すべてが自費で賄うような施設です。
ここでは、老人福祉の目的に沿って作られた老人福祉施設とその種類を紹介します。あわせて、要支援や要介護の基準と入居条件をあきらかにしていきます。
また、昨今問題になっている介護職員によるいじめなどのトラブル対策についてもまとめました。
老人福祉法(昭和38年法律第133号)は、老人の福祉を規定し、老人の心身の健康および生活の安定のために必要な措置を講じることで、老人の福祉を図るという法律です。
社会福祉六法のひとつとされます。
高齢者を受け入れる施設は、老人福祉法以外にも、社会福祉法や高齢者住まい法などで法的に整備されています。
老人福祉施設は、高齢者が地域で安心して生活を送ることができる拠点となる施設です。
老人福祉施設としては、老人福祉法の第5条の3に規定された老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターといった種類があるとされています。
ここでは、これらに老人保健施設と認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を加えて、一覧としました。
種類 | 対象 | 対応範囲 |
特別養護老人ホーム | 65歳以上 要介護3以上 |
入浴・排せつ・食事等の日常生活の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行う |
養護老人ホーム | 65歳以上 自立した方 |
環境上の理由、及び経済的理由により、家庭での生活が困難な高齢者の養護すること |
軽費老人ホーム | 家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な高齢者 | 低額な料金で、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を図る 食事サービスの提供があるA型と自炊のB型がある |
ケアハウス | 60歳以上の単身者または、夫婦のどちらか一方が60歳以上 要支援・要介護受け入れ可 |
軽費老人ホームの一種 自立した生活を継続できるよう構造・設備等の面で工夫されており、各種相談、食事サービスの提供、入浴サービスの提供のほか、緊急時の対応機能も備える |
老人デイサービスセンター | 日常生活を営むのに支障のある高齢者 | 入浴、食事の提供、機能訓練、介護の方法や生活等に関する相談および助言、健康診査等のさまざまなサービスを日帰りで提供する |
老人短期入所施設 | 居宅において介護を受けることが一時的に困難となった方 | 本人の心身の状況や、家族の病気・冠婚葬祭・出張等のため、又は家族の身体的・精神的な負担軽減等を図るためために、介護や日常生活を支援する |
老人福祉センター | 地域の高齢者 | 無料又は低額な料金で、各種の相談に応ずるとともに、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する |
老人介護支援センター | 居宅介護を受ける老人とその養護者 | 老人福祉に関する専門的な情報提供、相談、指導および老人福祉事業者と間の連絡調整、その他援助を総合的に行う |
老人保健施設 | 家庭で過ごすには少し不安な心身状態の方 | リハビリを中心とする医療的ケアと日常的な看護・介護サービスを提供することにより、1日も早い家庭復帰を図る |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 65歳以上 要支援2~要介護5 |
食事の支度や掃除、洗濯などを利用者と介護職員が共同で行うことにより、認知症の進行を穏やかにし、利用者が能力に応じて自立した日常生活を営むことができるようにする |
【参考・参照サイト】『公益社団法人全国老人福祉施設協議会』
養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームの経営を第1種社会福祉事業と呼びます。
主として入所施設サービスとされており、利用者への影響が大きいため、経営の安定が求められる、利用者保護の必要性が高い事業です。
そのため経営主体は、行政及び社会福祉法人が原則となっています。都道府県知事等への届出が必要です。
また、保護施設や養護老人ホーム、特別養護老人ホームの経営は、行政および社会福祉法人に限定されています。
老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センターおよび老人介護支援センター等の、在宅で受けるサービスや通所によってサービスを受ける施設の経営を第2種社会福祉事業と呼びます。
利用者への影響が小さいため、 公的規制の必要性が低いとされています。
経営主体に制限はありません。ただし、事業経営には行政への届出が義務付けられています。
老人福祉施設にはさまざまな種類がありますが、それら多くの入居条件に要支援・要介護度が示されています。
では、自立とはどのような状態で、要介護・要支援の認定基準とはどのようなものなのでしょうか。
施設への入居条件のなかには、自立した生活を送れることが条件の老人福祉施設も少なくありません。
自立とは、日常生活上の基本的動作を自分で行うことが可能な身体および精神的な状態にあり、薬の服用や電話の利用などを行う能力もあることを指します。
養護老人ホームや軽費老人ホームなどの施設では、自立した高齢者でなければ入居できないことになっています。
要支援には1と2の2段階があり、要介護には1から5までの5段階があります。要支援または要介護に認定されると、介護保険サービスを利用することができます。
認定を受けられるのは、65歳以上の方、または40~64歳までで加齢が原因と思われる「特定疾病(16種類)」の方となります。
要支援状態とは、日常生活に必要な基本的動作は自分で行えますが、将来的には介助や介護を必要とすることが予想されるような、何らかの支援を要する状態にあることを指します。
予防的措置をすることで要介護状態にならないような各種のサービスを受けることができます。
要介護状態とは、日常生活における基本的動作を自分で行うことが困難で、何らかの介護を要する状態にあることを指します。
介護度に応じた介護保険サービスを受けることができます。
要介護認定とは、介護の手間をあらわす「ものさし」として、介助に要する時間や機能訓練にかかる時間を「要介護認定等基準時間」にあてはめて審査し、判定するものです。
「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年4月30日厚生省令第58号)」として定められています。
具体的には、次に示す介助および関連行為にかかる時間から、要支援・要介護度が判断されます。
要支援2と要介護1の認定基準になるかかる時間は同じですが、介護保険の月額支給限度額と利用可能なサービスには若干の違いがあります。
この差は、認知症の発症などが要介護1には加味されていると考えられています。
種類 | 認定基準 | 介護保険 月額支給限度額 (自己負担1割または2割) |
利用可能サービス例 |
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満 またはこれに相当する状態 |
5万30円 (1割5,003円) (2割10,006円) |
週1回の介護予防訪問介護 月2回の施設への短期入所 介護予防通所介護または通所リハビリテーション(介護予防通所系サービス) |
要支援2 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満 またはこれに相当する状態 |
10万4730円 (1割10,473円) (2割20,946円) |
週2回の介護予防訪問介護 月2回の施設への短期入所 介護予防通所系サービス 一部の福祉用具貸与(歩行補助杖など) |
要介護1 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満 またはこれに相当する状態 |
16万6920円 (1割16,692円) (2割33,384円) |
週3回の訪問介護 週1回の訪問看護 週2回の通所系サービス 3ヵ月に1週間の施設への短期入所 一部の福祉用具貸与(歩行補助杖など) |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満 またはこれに相当する状態 |
19万6160円 (1割19,616円) (2割39,232円) |
週3回の訪問介護 週1回の訪問看護 週3回の通所系サービス 3ヵ月に1週間の施設への短期入所 一部の福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器) |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満 またはこれに相当する状態 |
26万9310円 (1割26,931円) (2割53,862円) |
週2回の訪問介護 週1回の訪問看護 週3回の通所系サービス 毎日1回の夜間巡回型訪問介護 2ヵ月に1週間の施設への短期入所 福祉用具貸与(車イス、特殊寝台、排便機能付き自動排泄処理装置除く) |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満 またはこれに相当する状態 |
30万8060円 (1割30,806円) (2割61,612円) |
週6回の訪問介護 週2回の訪問看護 週1回の通所系サービス 毎日1回の夜間対応型訪問介護 2ヵ月に1週間の施設への短期入所 福祉用具貸与(車イス、特殊寝台) |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上 またはこれに相当する状態 |
36万650円 (1割36,065円) (2割72,130円) |
週5回の訪問介護 週2回の訪問看護 週1回の通所系サービス 毎日早朝・夜間2回の夜間対応型訪問介護 1ヵ月に1週間の短期入所 福祉用具貸与(特殊寝台、エアーマットなど) |
支給限度額は標準的な地域の例となります。
支給限度額を超えたサービスの利用分は全額自己負担になります。
老人福祉施設で受けるサービスのすべてが、介護保険の対象となるわけではありませんので、利用前に確認してください。
また、現金で給付される福祉用具の購入費や住宅の改修費は、毎月の支給限度額とは別枠になっており、それぞれ限度額が決まっています。
なお、要支援の認定を受けた方は、介護保険のなかの介護予防サービス(予防給付)を利用できることになります。問い合わせ先は地域包括支援センターになります。
要介護の認定を受けた方は、介護保険のなかの介護サービス(介護給付)を利用できるようになります。老人福祉施設に連絡を取り、相談することをおすすめします。
多くの種類がある老人福祉施設ですが、もっとも多いトラブルが、入居者間のコミュニケーションの齟齬などによって起こるものです。
特に、独居の高齢者が、共同住宅である老人福祉施設に入居すると、周囲との協調がむずかしい場合が多いようです。
ここでは、よく知られた入居者間トラブルではなく、老人福祉施設と入居者との間に起こった事例を紹介していきます。
介護裁判とは、老人福祉施設において入居者が事故にあったり死亡したりした場合に提訴される裁判のことです。
昨今は増加傾向にあり、いくつかの傾向がみられるようになってきました。
介護裁判のほとんどが「転倒」と「誤嚥」が原因とされています。
転倒の場合、老人福祉施設側の損害賠償責任が認定されやすいという特徴がありますが、賠償額は少額にとどまることが多いようです。
一方の誤嚥の場合には、老人福祉施設側の損害賠償責任が否定されることも多いのですが、いったん責任があると認められると賠償額は高額になる傾向があります。
誤嚥の場合、主に食事中、職員が付き添っている状況下で発生します。
入居者が誤嚥しやすいとわかっていれば、誤嚥しにくいようにきざみ食に変えたり、とろみ等の下ごしらえをしたりするなどの事前の対応が可能です。
また嚥下体操をリハビリとして行ったり、食事時の体勢を観察したりすることで、誤嚥の回避が可能と判断されやすいためです。
また、誤嚥から窒息してしまっても、指を入れて掻き出したり、異物吸引や人工呼吸等による救命措置をしたりして回避が可能であることから、賠償額が高額になるようです。
入居者の転倒は、バリアフリー対策をどれだけ施しても防止が困難ですが、誤嚥が生じる条件はほぼ決まっており、救命措置などの対処も高度な医療技術ではなく、比較的容易であるといえます。
これらの条件を受けて裁判では、転倒の場合は損害賠償額が低く、誤嚥の場合は、職員がすべきことを行っていたのかどうか判断しやすいことから損害賠償額が高くなっています。
他にも、床ずれの褥瘡が放置されていた、リハビリの手技が間違っていたというような、医療行為に近い対応が提訴される事例があります。
看護師不足のなか、今後は老人福祉施設での痰の吸引や経管栄養の実施など、医療行為が介護職員に渡されていきます。
このような流れの中、老人福祉施設において、医療行為に関するトラブルが増加することが予想されます。
老人福祉施設への入居後に、入居者への身体的・心理的トラブルを確認した場合には、まずは老人福祉施設の責任者に相談します。
その後、事態の改善がみられない場合には、市区町村役所の高齢福祉課などに相談することをおすすめします。
市区町村以外に都道府県庁にも高齢者福祉課、長寿社会課などの窓口が設けられていますので、段階を追って相談することも良いでしょう。
ここ数年、老人福祉施設において、入居者が介護職員などからいじめられる、なかには殺人と断定されるなどの事件が相次いでいます。
これらを取り締まるのが、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)という法律です。2006年4月に施行されました。
この法律では、老人福祉施設の運営事業者が、施設の職員に対して必要と考えられる研修を行うことで虐待を予防し、入居者とその家族からの苦情を、適切に処理できるような体制の整備などを講じるように定めています。
自治体は、この高齢者虐待防止法と老人福祉法や介護保険法にもとづいて、事実確認や、関係機関と調整を行います。
必要に応じて「施設への立ち入り調査」などの権限を行使することができますので、不安がある場合には、できるだけ早く自治体の担当部署に相談すべきでしょう。
また高齢者虐待防止法第25条には、都道府県知事は高齢者虐待の状況等を公表することとされています。
入居前に、これらの情報を確認することも大切になります。
自治体に相談しても問題が抜本的に改善しないと感じて、いざ裁判となったとしても、思い通りにコトが運ばないということも多いようです。
なぜなら、裁判所は「事故そのもの」の過失の有無を検討するだけで、「事後対応」の良し悪しを審判しないからです。
しかも、判決には「謝罪」という項目はありませんから、老人福祉施設の過失責任は、金銭に換算された慰謝料や損害賠償等の名目でしか表されません。
このような裁判の仕組みから、訴えられた老人福祉施設は「お金目当てのクレーマー」と勝手に判断することも少なくありません。
しかも現場の職員は「些細なミスでも賠償させられる」という思考に陥り、介護そのものがやりにくくなったりします。
老人福祉施設のサービス品質が、裁判をきっかけに低下することもあり得るわけです。
入居者が泣き寝入りするようなことは避けなければなりません。
利用者側としては、入居前に裁判事例などのトラブルの実態を把握し、老人福祉施設の選択時に、さまざまな視点からよく確認することでトラブルを回避するしかないというのが実情です。
老人福祉施設とは、老人福祉法に基づいた施設のことです。
その種類が多いことと、公的制度であるために、最適と思われる施設選びには、要支援・要介護についての理解を深める必要もあります。
とくに介護保険を上手に利用したい場合には、老人福祉施設の入居条件と利用可能なサービスについてよく知ることが大切です。
また、老人福祉施設と入居者間のトラブルは増加傾向にあります。
医療行為が介護職員によって代替されていく流れが作られており、今後は医療行為にかんするトラブルも発生しやすくなってきます。
老人福祉施設で起こるトラブルの実態を裁判の事例などから把握し、よりよい施設選びにつなげていくことも、これからは必要になってくることでしょう。
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