老後施設の気になる７つのポイント

介護が必要になったり、老後の住まいを考えた時、思い浮かぶ候補のひとつが老後施設だと思います。しかし、老後施設と言っても種類は様々。

老後資金や生活環境など、健康状態や老後の人生も考え、自分に合った老後施設を選ぶ事ができます。

今回の記事では、老後施設を調べる上でまず気になる費用や入居手順等に加えて、老後施設の経営を考える方にとっても、気になるポイントを7選まとめてみました。

是非、老後施設入居や経営についての参考にしてみて下さい。

老後施設の種類
老後施設にかかる金額は？
老後施設に入居する手順
老後施設の入居は独身の高齢者にもおすすめ
知的障害者の老後施設入居について
老後施設に入居する前に
老後施設を経営する為には
「老後施設の気になる７つのポイント」まとめ

老後施設の種類

老後施設には「老後の住まい」と「老後に介護してもらえる施設」の2種類があります。

住居としての老後施設は、主に高齢者向け住宅とまとめられ、生活や老後の趣味を楽しむ事に重点が置かれています。

介護サービス付きの老後施設は、専門スタッフのサポートを受けながら生活し、リハビリやレクリエーションが行われます。

また、公的老後施設は低額で、民間老後施設は高額という違いや、長期入居と短期の介護サービスという違いもあります。

特別養護老人ホーム

年齢	65歳以上
介護度	要介護3～5
老後施設の特徴	自宅介護が困難で、介護度も高い高齢者の為の老後施設。入居費用が安い分、入居待ちが発生しやすい。

介護付き有料老人ホーム

年齢	65歳以上
介護度	要介護1～5
老後施設の特徴	民間企業の為、自分にあったサービスを提供している老後施設を選びやすい。

サービス付き高齢者向け住宅

年齢	60歳以上
介護度	自立～軽度の要介護
老後施設の特徴	高齢者が快適な老後生活を送れるよう整備された間取りで、見守りサービスや娯楽が充実している住居タイプの老後施設。

グループホーム

年齢	65歳以上
介護度	要介護1～5
老後施設の特徴	主に認知症の高齢者と介護スタッフ少人数で生活できる老後施設。アットホームな雰囲気。

ケアハウス

年齢	60歳以上
介護度	自立～軽度の介護
老後施設の特徴	身寄りがない、家庭に問題があるなど、介護は不要だが、通常の生活が困難な高齢者の為の老後施設。

養護老人ホーム

年齢	65歳以上
介護度	自立～中度の介護
老後施設の特徴	入居費用が入居者の収入によって決まるので、貧困家庭や低所得者の利用が多い老後施設。

介護療養型医療施設

年齢	65歳以上
介護度	要介護1～
老後施設の特徴	介護だけでなく医療サービスも必要な高齢者の為の老後施設で、長期入院も可能。

こちらの表は主に目安の為、全ての老後施設に当てはまるとは限りません。

「65歳以上向けの老後施設でも、40歳以上で要介護の方対象」という場合もあります。

老後施設入居を希望する際は、まずはケアマネージャーや施設窓口に相談し、老後施設で希望にあったサービスを受けられるか確認しましょう。

【参考・参照サイト】
『探しっくす　有料老人ホームってどんなとこ？』
『オアシスナビ　介護施設の種類を知る』
『みんなの介護　老人ホーム・介護施設の種類』
『みんなの介護　老人ホームの入居条件は年齢？要介護度？』

老後施設にかかる金額は？

老後施設の入居金額は、老後施設の種類によって大きく変わります。

公的施設は介護保険適用の為、費用が安く、民間老後施設は高額になる事が多いのです。

特別養護老人ホーム

入居一時金	0円
月額費用	5～15万円

介護付き有料老人ホーム

入居一時金	0～数千万円以上
月額費用	12～40万円

サービス付き高齢者向け住宅

入居一時金	0～数十万円
月額費用	5～25万円

グループホーム

入居一時金	0～数百万円
月額費用	12～30万円

ケアハウス

入居一時金	0～数百万円
月額費用	7～30万円

養護老人ホーム

入居一時金	0円
月額費用	0～14万円

介護療養型医療施設

入居一時金	0～3万円
月額費用	8～15万円

【参考・参照サイト】
『みんなの介護　老人ホーム・介護施設の費用・料金』
『LIFULL　老人ホーム・介護施設の費用・料金』
『介護保険の教科書　介護施設に入った時の費用目安、相場の比較』

主要な老後施設で必要な金額を表示していますが、目安の為、実際の費用は必ず入居が決まった老後施設に確認しましょう。

特に民間の老後施設は、入居者の希望や健康状態に合わせて、利用できる様々なサービスを選択する事ができます。

サポートを手厚くしたり、老後施設内の習い事にいくつも参加すると、月額利用料が高くなる事もあり得ます。

老後施設に入居する手順

入居する老後施設によって、入居手順も様々ですが、基本は以下の通りです。

1.ケアマネージャーに相談

介護認定を受けている方は、老後施設に入居しようと思ったら、ケアマネージャーに相談しましょう。

週数回通うデイサービスでも、終の棲家として探したい老後施設でも、希望に合わせて老後施設の候補を出してもらえます。

介護も不要で、自立した生活を送れる場合は、この手順を省略し、自力もしくは家族の力を借りて、高齢者向け住宅タイプの老後施設を探すことも可能です。

2.老後施設への入居申し込み

老後施設へ入居申し込みを行います。

高齢者向けの住居は不動産屋でも取り扱いがありますが、介護が関わるとケアマネージャーから老後施設への申し込みになる場合もあります。

また、老後施設へ直接ではなく、市区町村の窓口に申し込む事もあります。

また、申込み前でも、気になる点や相談があれば、老後施設に直接連絡する事も可能です。

3.老後施設見学

入居したい老後施設が複数ある場合は、一度見学や体験入居をしてみましょう。

実際の老後施設スタッフや入居者の様子を知っておいた方が、入居後にイメージと違うなどで悩む事も減るので、おすすめです。

4.老後施設スタッフとの面談

老後施設に出向いたり、場合によってはスタッフ訪問にて入居前面接が行われる老後施設もあります。

緊急性のある高齢者から入居させる事もあり、老後施設入居に際して問題がないか、老後施設側で調査します。

健康診断書や看護の記録と共に、面接も老後施設入居審査のひとつです。

5.契約

審査会議で問題がなければ、入居が決まります。

老後施設の入居は独身の高齢者にもおすすめ

現在独身で、将来身寄りがないまま老後を迎えるのではないか、と考えると不安になりますよね。

65歳以上の独身世帯は、昭和55年では男性が約19万人、女性が約69万人だったのに比べ、平成22年には男性139万人、女性341万人と各段に増加しています。

おひとりさま人生を選ぶ方が増えてきた現代では、同じ悩みを持つ方も多いでしょう。

独身高齢者の方は、老後施設への入居がおすすめです。

一人暮らしの場合、万が一の事があっても救急車を呼べないなどのリスクがあり、孤独死しても発見が遅れてしまうという可能性も高いのです。

現在は見守りサービスや生活相談のできる高齢者向け住宅タイプの老後施設も販売されています。

常にスタッフがいる環境で生活したい場合は、老人ホームを検討してみましょう。

老後施設にかかる費用負担が心配な方は、ケアハウスなど経費の老後施設もありますし、まずは市区町村の窓口に相談してみて下さい。

【参考・参照サイト】『高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向』

知的障害者の老後施設入居について

知的障害がある場合でも、介護認定されれば介護保険の適用となります。

老後施設に入居する際は、介護度で判断される為、介護付き老後施設に入居する事が可能です。

しかし、知的障害は認知症とは違います。

これまで家族の元で生活してきたのか、障害者施設で暮らしてきたのか、個人によると思いますが、いきなり老後施設での生活ができるかと言えば、全ての老後施設が対応できるわけではありません。

介護認定を受けていても、知的障害という点で他入居者やスタッフと共に生活できるかどうか、老後施設に入居してからでないと分からない部分でもあります。

何もしないよりは、まず市区町村の窓口に相談する事で、適した老後施設が見つかるかもしれません。

老後施設に入居する前に

入居に必要な持ち物を準備

老後施設はホテルではありません。

介護サービスのある老後施設では、ベッドなどの家具は揃っていますが、これから生活する上で必要な洗面用具や、衣類は持参しましょう。

特に衣類は、洗濯サービスはありますが、老後施設内で動きやすい着慣れた服や、パジャマ、下着など3～4枚持参するのが相場と言われています。

また、高齢者向け住宅は、バリアフリーで必要な所に手すりがある住居です。

介護施設と違い、家具や生活用品の持ち込みの幅も広がります。

終活を始めてみよう

老後施設への入居を考えると同時に、終活を始めてみましょう。

終活とは、人生の終わりに向かってよりよく生き、残される家族や知人の為にできる最後の活動です。

具体的には、エンディングノートを作成したり、お葬式やお墓の事前準備を行います。

老後施設に入ってからでもできますが、人生を振り返り自分が亡くなった後の希望などを書き留めるエンディングノートは、30代からでも作成する方がいるほどなので、早めに始めても良いでしょう。

関連記事：終活について詳しく知りたい方はこちら
「終活とは何か？」

生前整理をしよう

生前整理とは、生前に遺品整理を行う終活のひとつです。

老後施設に入居するタイミングで、現在の住まいを整理しておけば、部屋だけでなく自分自身の気持ちもスッキリします。

通常、遺品整理は遺族が行いますが、自分で生前整理してしまえば、相続や形見分けについても心配ありません。

また、老後施設に入ってしまったら、なかなか自分の家に帰る事は少なくなるので、生前整理するにはとても良いきっかけになります。

関連記事：生前整理について詳しく知りたい方はこちら
「生前整理とは」

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老後施設を経営する為には

老後施設を経営する為には、有料老人ホームやデイサービス、グループホームという民間の老後施設を建てる事が可能です。

老人ホームとなると600坪以上必要ですが、デイサービスなどは70坪程度から経営できるので、長らく空いていた場所がいつの間にか老後施設を始めていたという建物も見たことがあるのではないでしょうか。

高齢化社会となった今、老後施設が必要な地域もあり、今後も利用者の増加が見込まれます。

また、老後施設を経営する事は、社会貢献にもなりますし、補助金を受ける事も可能な場合があります。

しかし、思ったより入居者が少ないなどの問題も発生してくるので、その土地に適した老後施設を選択する事が重要です。

老後施設経営に必要な資金

老後施設を経営する為に、確実にいくら必要かという資金額を提示するのは難しいです。

経営する老後施設の種類にもよりますし、規模も様々な為です。

おおよそですが、デイサービスなど小規模な老後施設なら数千万円、大規模なら3～10億円の資金が必要と言われています。

しかし、老後施設を経営するには、通常の住宅より介護や見守りといったサービスを重視しなければならないので、費用がかかります。

バリアフリー完備

手すりの設置

車イスでも利用できる面積

トイレ・風呂等の緊急呼び出しボタンの設置

インターホンや見守りサービス

老後施設の部屋数が多ければ多いほど、部屋ごとに高齢者向けの設備を行わなければならないので、一般のアパートやマンションとは設備が違う事を理解しておきましょう。

老後施設経営に必要なスタッフ

民間の老後施設では、入居者の介護を行うスタッフが必要です。有料老人ホームを例に見てみます。

ホーム長	1名
介護職員	入居者3名に対して1名
ケアマネージャー	入居者100名に対して1名以上
生活相談員	入居者100名に対して常勤1名
機能訓練指導員	1名以上
看護職員	1名以上
栄養士	1名

【参考・参照サイト】
『ベネッセスタイルケア　老人ホームの介護・医療体制』
『みんなの介護　有料老人ホームの設立の条件とは？』

老後施設は、介護やリハビリが必須の入居者がいる事も多く、介護スタッフやリハビリ専門員の力が必要です。

昨今、老後施設のスタッフは苦労も多く、短期間で退職してしまうスタッフが多い事も問題になっています。

福祉系の学校もあり、資格を持った卒業生も多くいますが、老後施設のスタッフとして戦力になってもらえる人員を集められるか、しっかりと検討が必要です。