横浜市の空き家に関する完全ガイド:売却・購入のポイント

横浜市の空き家の探し方や売り方を解説する写真 空き家
この記事を書いた人
遺品整理ドットコム編集長

遺品整理やゴミ屋敷片付けの業界歴8年以上のベテラン編集長です!遺品整理やゴミ屋敷片付け、生前整理での現場経験も生かして「遺品整理ドットコム」のブログを執筆しています!すぐに行動を起こせるような文章を心掛けてブログ運営をしています。

遺品整理ドットコム編集長をフォローする
0
(0)

横浜市は人口370万人を超える日本最大の政令指定都市であり、東京都心へのアクセスの良さから住宅需要が高いエリアとして知られています。しかし、そんな横浜市でも近年、空き家の増加が社会問題となっています。

2018(平成 30)年の「住宅・土地統計調査」によると、本市の空き家は 178,300 戸となってお り、内訳は一戸建が 27,800 戸、共同住宅・長屋等が 150,500 戸となっています(第3期横浜市空家等対策計画(2024年3月))。さ特に高齢化の進行や相続問題などを背景に、適切に管理されていない空き家が増えています。これらの空き家は以下のような問題を引き起こしています:

  • 防災・防犯上のリスク:管理されていない空き家は火災や不法侵入のリスクが高まります
  • 周辺環境への悪影響:庭木の繁茂や建物の老朽化による景観の悪化
  • 地域コミュニティの希薄化:人が住まなくなることによる地域活力の低下
  • 固定資産税の増加:2015年に施行された「空き家対策特別措置法」により、特定空き家に指定されると固定資産税の軽減措置が受けられなくなる場合があります

一方で、適切に活用すれば大きな資産価値を持つ物件も数多く存在します。横浜市内には、歴史的な価値を持つ古民家や、立地条件の良い物件、リノベーションの可能性を秘めた空き家など、様々なタイプの空き家があります。

こうした状況に対して、横浜市では空き家対策として様々な取り組みを行っています。空き家の適正管理の促進空き家の利活用支援、さらには解体費用の補助など、所有者が空き家問題に対処しやすい環境づくりを進めています。

また、横浜市では空き家の実態調査を定期的に実施し、問題のある空き家に対しては所有者への指導や助言を行っています。特に管理不全の状態が続く空き家については、「特定空き家」に認定し、改善命令や代執行などの措置を講じる場合もあります。

この記事では、横浜市内の空き家を売却したい方、あるいは購入して活用したい方、双方にとって役立つ情報を提供します。横浜市の支援制度や具体的な手続き方法、メリット・デメリットなど、空き家の売買に関わる様々な側面について解説していきます。

国土交通省の住生活基本計画によれば、「既存住宅流通の活性化」は重要な政策課題とされています。空き家の適切な流通と活用は、持続可能な住環境の整備につながる重要な取り組みです。この記事が、皆様の空き家に関する意思決定の一助となれば幸いです。

次章からは、まず空き家を売却したい方向けの情報を詳しく解説していきます。

  1. 横浜市の空き家を売却したい方へ
    1. 横浜市での空き家売却の選択肢
      1. 不動産会社への仲介依頼
      2. 買取業者の活用
      3. インターネット売買サイトの活用
    2. 高値で売却するためのポイント
      1. 適切な片付けと清掃の重要性
      2. リフォームすべきか否かの判断基準
      3. 適正価格の設定方法
      4. 売却前の法的確認事項
    3. 注意点:空き家バンクについて
  2. 横浜市内の地域別不動産価格の特徴
    1. 高価格帯エリア
    2. 中価格帯エリア
    3. 比較的手頃なエリア
    4. 価格に影響する主な要因
  3. 横浜市で空き家を購入したい方へ
    1. 横浜市の空き家を見つける方法
      1. 不動産会社での相談
      2. 不動産ポータルサイトの活用
      3. 現地エリアでの情報収集テクニック
    2. 空き家購入の注意点
      1. 物件調査のポイント
      2. 隠れた欠陥を見抜くコツ
      3. 購入後のリノベーションコスト試算
    3. 横浜市の空き家物件の特徴
      1. エリア別の相場感
      2. 人気エリアと今後注目のエリア
      3. 古民家や歴史的建造物の取得について
  4. 横浜市の空き家支援制度
    1. 空き家活用のマッチング制度
    2. 専門家の派遣制度
    3. 空き家の改修支援
    4. 省エネ住宅住替え補助制度
    5. 相続空家の売却に関する税制優遇
    6. 建築物の解体支援
      1. 住宅除却補助事業
      2. 建築物不燃化推進事業
    7. まとめ:支援制度活用のポイント
  5. 横浜市の空き家に住む際の注意点
    1. 傾斜地・高低差への対応
    2. 古い市街地特有の狭小地と接道問題
    3. 歴史的建造物・景観保全地区の規制
    4. 交通騒音・生活環境
    5. 横浜市特有の地域コミュニティ
    6. 行政サービスとの関係
    7. まとめ
  6. 横浜市の空き家の片付けなら遺品整理ドットコム
  7. まとめ
    1. 売却希望者へのポイント
    2. 購入希望者へのポイント
    3. 今後の相談先
    4. 最後に

横浜市の空き家を売却したい方へ

横浜市の空き家の風景

横浜市で空き家をお持ちの方にとって、売却は大きな決断です。ここでは、空き家売却のための選択肢や高値で売るためのポイント、そして横浜市特有の情報をご紹介します。

横浜市での空き家売却の選択肢

空き家を売却する方法はいくつかあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身の状況に最適な方法を選びましょう。

不動産会社への仲介依頼

地域密着型の不動産会社に依頼するメリットは大きいです。横浜市の地域特性を熟知した不動産会社は、適正な価格設定や効果的な販売戦略を提案してくれます。

仲介依頼のメリット 仲介依頼のデメリット
専門知識による適切な価格設定 仲介手数料が発生(売買価格の3%+6万円+税)
広告宣伝力による多くの買い手へのアプローチ 売却までに時間がかかる場合がある
契約や重要事項説明などの手続きサポート 希望条件に合う買い手が見つからないリスク
価格交渉の代行 複数の不動産会社と契約する場合の対応負担

横浜市内には多くの不動産会社がありますが、可能であれば複数の会社から査定を受けることをお勧めします。「一般媒介契約」と「専任媒介契約」の違いも理解しておきましょう。

「一般媒介契約」は複数の不動産会社に依頼できる契約形態です。一方、「専任媒介契約」は1社のみに依頼する形式で、その会社は売却活動状況を定期的に報告する義務があります。

買取業者の活用

早急に現金化したい場合や、物件の状態があまり良くない場合は、買取業者への売却も選択肢の一つです。

買取業者利用のメリット 買取業者利用のデメリット
最短数日で売却完了 市場価格より安くなる(一般的に7〜8割程度)
物件の状態を問わない 業者選びで悪質な業者に当たるリスク
手続きが簡単 複数の買取業者から相見積もりを取る手間
売却が確実(買い手探しのリスクなし) 相場より大幅に安い価格を提示される可能性

信頼できる買取業者を選ぶポイントとしては、宅地建物取引業の免許番号を確認すること、複数の業者から見積もりを取ること、契約前に必ず書面で条件を確認することが重要です。

インターネット売買サイトの活用

近年では、個人間売買を仲介するポータルサイトも増えています。仲介手数料を節約できる可能性がありますが、専門知識が必要になる点に注意が必要です。

ネット活用のメリット ネット活用のデメリット
仲介手数料の節約可能性 価格設定や交渉を自分で行う必要がある
広範囲の買い手にアピール可能 契約書作成など法的手続きの知識が必要
自分のペースで売却活動ができる 詐欺などのトラブルリスク
掲載費用が比較的安い 内覧対応などの負担

この方法を選ぶ場合は、重要事項説明や契約書作成などの法的手続きをどうするか事前に計画を立てておくことが重要です。司法書士や行政書士に依頼するなどの方法もあります。

高値で売却するためのポイント

適切な片付けと清掃の重要性

空き家を高く売るための第一歩は、徹底した片付けと清掃です。長年使われていない家は、思っている以上にホコリや汚れが蓄積しています。

不要な家具や物を処分し、床や壁の汚れを落とすだけでも印象は大きく変わります。特に、水回り(キッチン、浴室、トイレ)の清掃は買い手の印象を左右する重要なポイントです。

プロのハウスクリーニングサービスを利用するのも一案です。費用対効果の高い投資になることが多いです。

ハウスクリーニングの種類 一般的な費用目安(横浜市内)
一戸建て全体クリーニング 80,000円〜150,000円
マンション全体クリーニング 50,000円〜100,000円
水回りのみのクリーニング 30,000円〜60,000円
特殊清掃(カビ、害虫駆除など) 要見積もり

リフォームすべきか否かの判断基準

空き家を売却する際に、リフォームすべきかどうかは難しい判断です。リフォーム費用が売却価格に反映されるとは限らないからです。

リフォームを検討すべき状況:

  • 安全性に関わる問題がある場合(雨漏り、構造的な問題など)
  • 水回りの設備が著しく老朽化している場合
  • 外壁の損傷が激しい場合

リフォームよりも現状売却を検討すべき状況:

  • 建物の老朽化が全体的に進んでいる場合
  • 買主が更地にする可能性が高い場合
  • リフォーム費用が高額になりすぎる場合

判断に迷う場合は、不動産会社に相談し、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。

適正価格の設定方法

空き家の適正価格を知るためには、複数の不動産会社による査定を受けることが基本です。横浜市内でも地域によって相場は大きく異なります。

査定額の違いだけでなく、その根拠や販売戦略についても説明を求めましょう。単に高い査定額を出した会社を選ぶのではなく、根拠のある査定と具体的な販売計画を提示してくれる会社を選ぶことが重要です。

また、以下の要素が価格に影響することを知っておきましょう:

  • 立地条件(最寄り駅からの距離、商業施設への近さなど)
  • 土地の広さと形状
  • 建物の築年数と状態
  • 日当たりや眺望
  • 周辺の開発計画

売却前の法的確認事項

空き家を売却する前に、法的な問題がないか確認することが非常に重要です。後のトラブルを防ぐため、以下の点を必ず確認しましょう。

  1. 所有権の確認:登記簿謄本で所有者が誰になっているか確認
  2. 相続の問題:相続が発生している場合、すべての相続人の同意が必要
  3. 境界の確定:隣地との境界が明確になっているか
  4. 抵当権等の確認:住宅ローンなどの抵当権が残っていないか
  5. 固定資産税の滞納:滞納があると売却手続きに支障が出る場合がある

特に相続関係の問題は複雑になりやすいため、早めに司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。

注意点:空き家バンクについて

現在(2025年3月19日時点)、横浜市では空き家バンクは提供されていません。空き家バンクとは、自治体が空き家の売却希望者と購入希望者をマッチングさせるサービスのことです。

横浜市近隣の自治体では空き家バンクを運営しているところもありますが、横浜市では現在のところ、民間の不動産市場を通じた取引が中心となっています。

ただし、今後横浜市でも空き家バンクの導入が検討される可能性はあるため、横浜市の空き家対策関連の最新情報には注意を払っておくことをお勧めします。

空き家の売却を検討される方は、横浜市の空き家対策事業や補助金制度などを併せて確認することで、より有利な条件で売却できる可能性もあります。特に、空き家の解体費用に対する補助金などは、売却条件に大きく影響する場合があります。

横浜市内の地域別不動産価格の特徴

横浜市の空き家のマンション

横浜市内でも地域によって空き家の売却価格は大きく異なります。以下に横浜市内の地域別価格傾向をご紹介します。

高価格帯エリア

みなとみらい・関内エリア

  • 横浜のランドマークタワーやコスモワールドなどがある中心地
  • 商業施設や交通の利便性が極めて高い
  • マンションが多く、一戸建ては希少価値あり
  • 平均相場:土地単価 100〜150万円/㎡以上

東急東横線沿線エリア(日吉・綱島・白楽など)

  • 東京都心へのアクセスが良好
  • 教育環境が充実しており、ファミリー層に人気
  • 平均相場:土地単価 70〜120万円/㎡

青葉区たまプラーザ・あざみ野周辺

  • 高級住宅地として知られる閑静な住環境
  • 商業施設も充実し、教育水準も高い
  • 平均相場:土地単価 60〜100万円/㎡

港北ニュータウンエリア(センター北・センター南)

  • 計画的に開発された住宅地で環境が整っている
  • 商業施設も充実し、交通の便も良い
  • 平均相場:土地単価 55〜90万円/㎡

中価格帯エリア

JR根岸線沿線(磯子・洋光台など)

  • 横浜駅や関内へのアクセスが比較的良好
  • 高台が多く、眺望の良い物件も
  • 平均相場:土地単価 40〜70万円/㎡

戸塚区・港南区中心部

  • 駅周辺は商業施設も充実
  • 住宅地としても人気のエリア
  • 平均相場:土地単価 35〜65万円/㎡

鶴見区・保土ケ谷区中心部

  • 横浜駅へのアクセスが比較的良好
  • 古くからの住宅地と新興住宅地が混在
  • 平均相場:土地単価 30〜60万円/㎡

比較的手頃なエリア

金沢区郊外部

  • 海に近いエリアもあるが、丘陵地も多い
  • 駅から距離がある物件は価格が手頃
  • 平均相場:土地単価 25〜45万円/㎡

栄区・泉区

  • 横浜市の南部に位置し、自然環境が豊か
  • 都心へのアクセスはやや時間がかかる
  • 平均相場:土地単価 20〜40万円/㎡

緑区北部・旭区北部

  • 自然が多く残る郊外エリア
  • 交通の便はやや劣るが、広い土地が手に入りやすい
  • 平均相場:土地単価 18〜35万円/㎡

価格に影響する主な要因

  1. 最寄り駅からの距離

    • 徒歩10分圏内と15分以上では20〜30%の価格差が生じることも
  2. 高台か平地か

    • 高台は眺望や日当たりで有利な場合があるが、高齢者には不便
  3. 商業施設の充実度

    • スーパーやコンビニが徒歩圏内にあるかどうかで価値が変わる
  4. 学区

    • 人気校の学区内は5〜10%程度高くなる傾向がある
  5. 開発計画の有無

    • 新しい鉄道路線や大型商業施設の計画があるエリアは将来的な値上がりが期待できる

空き家の売却を検討する際は、同じ横浜市内でも地域による価格差が大きいことを理解し、適切な比較物件を参考にすることが重要です。特に、最近の傾向として、コロナ禍以降は郊外の広い物件への需要も増加していますので、立地だけでなく物件の特性を総合的に評価することをお勧めします。

横浜市で空き家を購入したい方へ

空き家のマンションの写真

横浜市内の空き家は、適切に選べば大きな可能性を秘めた物件との出会いにつながります。この章では、空き家を購入したい方に向けて、物件の探し方から購入時の注意点、エリア別の特徴まで詳しく解説します。

横浜市の空き家を見つける方法

不動産会社での相談

横浜市内の空き家を効率よく探すなら、地域に精通した不動産会社への相談が最も確実な方法です。特に以下のような会社を選ぶと良いでしょう。

  • 横浜市内に長く店舗を構える老舗の不動産会社
  • 特定のエリアに特化した地域密着型の不動産会社
  • 空き家や中古住宅の取り扱い実績が豊富な会社

不動産会社を通じると、一般に公開されていない「未公開物件」の情報を得られることもあります。特に人気エリアでは、公開前に成約してしまうケースも少なくありません。

「当社では横浜市内の空き家情報を独自のルートで収集しています。特に築年数の古い物件や相続物件など、通常の流通経路に乗らない物件の情報も多数保有しています」 (横浜市内不動産会社A社・担当者)

不動産ポータルサイトの活用

インターネット上の不動産ポータルサイトも、空き家物件を見つける有効な手段です。主要なサイトとしては以下が挙げられます。

  • SUUMO
  • HOME’S
  • アットホーム
  • Yahoo!不動産

これらのサイトでは、「築年数」「価格」「エリア」などの条件で絞り込み検索が可能です。空き家を探す際は、以下のような検索条件を設定すると効果的です。

  • 築20年以上
  • 「リフォーム必要」などのキーワード
  • 「相続」「空き家」などのキーワード

ただし、明確に「空き家」として登録されている物件は限られています。古い物件や取り扱い主が「相続不動産」となっている物件を中心に探すことをお勧めします。

現地エリアでの情報収集テクニック

気になるエリアが決まっている場合は、実際にその地域を歩いて空き家を探すという方法も有効です。以下のポイントに注目してみましょう。

  • 郵便受けに郵便物が溜まっている
  • カーテンが閉まったままの住宅
  • 庭の草木が伸び放題になっている
  • 電気メーターが動いていない

こうした物件を見つけたら、近隣住民や町内会に問い合わせてみることで、所有者の情報が得られることもあります。ただし、プライバシーに配慮した問い合わせ方をすることが重要です。

また、横浜市では「空き家等の有効活用のための流通支援事業」を実施しており、これを活用することで未利用の空き家情報を得られる可能性もあります。

空き家購入の注意点

物件調査のポイント

空き家を購入する際には、通常の中古住宅以上に慎重な調査が必要です。特に以下のポイントに注意しましょう。

  1. 建物の基本性能

    • 築年数と耐震基準(1981年の新耐震基準前後で大きく異なる)
    • 基礎の状態(ひび割れや不同沈下の有無)
    • 屋根や外壁の状態(雨漏りの痕跡がないか)
  2. インフラ環境

    • 上下水道の接続状況と配管の状態
    • 電気・ガスの引き込み状況
    • インターネット環境(光回線が導入可能か)
  3. 土地の状況

    • 接道状況(建築基準法上の接道義務を満たしているか)
    • 土地の形状や傾斜
    • 地盤の状態(液状化リスクなど)
  4. 法的制限

    • 建ぺい率・容積率などの建築制限
    • 都市計画道路の予定の有無
    • 再建築不可物件ではないか

特に重要なのは、耐震性です。1981年以前に建てられた物件は旧耐震基準であるため、リノベーションの際に耐震補強が必要になるケースが多くあります。

隠れた欠陥を見抜くコツ

空き家は長期間使用されていないため、住んでみて初めて分かる問題が発生することがあります。以下のチェックポイントを押さえておきましょう。

  • 水回りの確認: 蛇口をひねって水が出るか、排水の流れは良いか
  • シロアリ被害のチェック: 床下や柱の状態を確認
  • カビ・湿気の状態: 押入れや天井の隅などを確認
  • 臭いのチェック: ペットや喫煙による臭いが染み付いていないか
  • 電気設備: コンセントや配線の状態、アンペア数は十分か

可能であれば、第三者の専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を受けることをお勧めします。費用は通常5〜10万円程度ですが、将来的なリスクを大幅に軽減できます。

ホームインスペクションの費用目安
一戸建て(〜100㎡)
一戸建て(100㎡〜)
オプション(床下調査等)

購入後のリノベーションコスト試算

空き家を購入する際は、物件価格だけでなくリノベーションコストも含めた総予算で考えることが重要です。一般的なリノベーションコストの目安は以下の通りです。

リノベーションの種類 内容 費用目安(30坪の場合)
軽微な改修 クロス張替え、床材交換、設備交換など 300〜500万円
標準的なリノベーション 間取り変更、水回り刷新、断熱工事など 700〜1,200万円
フルリノベーション 構造補強、全面改装、設備一新など 1,500〜2,500万円
古民家再生 伝統工法での修復、耐震補強など 2,000〜3,500万円

リノベーションを検討する際は、以下の点を考慮することが大切です。

  • 構造上の問題は必ず修繕する(耐震補強、雨漏り修理など)
  • 水回り設備は基本的に全面交換を想定する
  • 断熱性能の向上は光熱費削減につながる投資
  • DIYで行える部分と専門業者に依頼すべき部分を見極める

また、横浜市では空き家のリノベーションに対する補助金制度があるため、積極的に活用すると良いでしょう。

横浜市の空き家物件の特徴

エリア別の相場感

横浜市内は地域によって空き家の価格相場や特徴が大きく異なります。主要エリアの特徴と相場を紹介します。

エリア 空き家の特徴 価格相場(土地・建物込)
横浜北部(港北区・緑区など) 高度成長期の住宅が多い、比較的広い敷地 2,500〜4,000万円
横浜西部(旭区・保土ケ谷区など) 丘陵地の住宅、眺望良好な物件も 2,000〜3,500万円
横浜南部(金沢区・磯子区など) 海が近い物件、高度経済成長期の団地 2,300〜3,800万円
横浜中心部(西区・中区など) 古い商店併用住宅、狭小住宅 3,500〜6,000万円

注意点としては、同じエリア内でも最寄り駅からの距離や接道状況によって価格が大きく変動することです。特に、バス便のみのエリアや傾斜地の物件は相場より安く取引される傾向があります。

人気エリアと今後注目のエリア

現在、横浜市内で空き家購入の人気が高いエリアは以下の通りです。

  • 東急東横線沿線(日吉・綱島・大倉山など)
  • JR横浜線沿線(菊名・新横浜など)
  • ブルーライン沿線(センター北・南、あざみ野など)

これらのエリアは交通の利便性が高く、今後も需要が見込まれます。

一方、今後注目されるエリアとしては以下が挙げられます。

  • 金沢区・磯子区: 横浜の海に近く、リモートワークの広がりで再評価
  • 鶴見区北部: 新しい開発が進み、交通アクセスも改善
  • 旭区・泉区: 自然環境が豊かで、価格も比較的手頃

特に、テレワークの普及により、少し駅から離れていても広い庭付きの空き家を求める動きが活発化しています。

古民家や歴史的建造物の取得について

横浜市内には、歴史的価値のある古民家や伝統的な建造物も数多く残されています。これらを取得・再生する際の特徴と注意点は以下の通りです。

古民家取得のメリット

  • 現代の建築では得られない風情や雰囲気
  • 良質な木材や伝統工法による耐久性
  • 独自性の高い住まいとしての価値
  • 歴史的建造物としての文化的価値

取得・再生の際の注意点

  • 専門的な知識を持つ建築士やリノベーション会社の選定が重要
  • 伝統工法を理解した職人の確保
  • 現代の生活様式に合わせた設備導入のバランス
  • 防火・耐震面での補強の必要性

横浜市では、歴史的建造物の保存・活用を推進する「歴史を生かしたまちづくり事業」も実施されています。対象となる建物では、保存のための補助金を受けられる可能性もあるため、検討する価値があるでしょう。

横浜市の空き家は、適切な調査と計画によって、魅力的な住まいへと生まれ変わる可能性を秘めています。購入前の情報収集と専門家への相談を十分に行い、理想の住まいづくりに役立ててください。

横浜市の空き家支援制度

支援制度を活用して作ったカフェの写真

横浜市では、増加する空き家問題に対応するために、様々な支援制度を設けています。空き家の所有者が適切に管理・活用したり、解体したりする際に活用できる制度について詳しく見ていきましょう(横浜市の空き家対策)。

空き家活用のマッチング制度

横浜市では、空き家の有効活用を促進するため、所有者と活用希望者をつなぐマッチング制度を実施しています。

所有者向けのマッチング制度では、空家・空地の所有者と、地域活動の拠点等を探している団体や事業者との対話の場が設定されます。活用方法に悩んでいる所有者にとって、新たな可能性を見出す機会となります。

活動団体等向けのマッチング制度は、地域活動や社会貢献活動を行いたい団体が、活動拠点として空き家を探す際に利用できます。

対象者 窓口 連絡先
空家・空地の所有者 空家の総合案内窓口(住まいるイン) 045-451-7762
活動団体等 横浜市市民協働推進センター 045-671-4732

専門家の派遣制度

空き家の活用方法や管理方法について専門的なアドバイスが必要な場合、空家活用の専門相談員派遣事業を利用することができます。この制度は、本市と空家等対策の協定を締結した専門家団体と連携して実施されており、専門的な知識を持った相談員を無料で派遣するものです。

不動産、建築、法律などの専門家が現地を訪問し、空き家の状態に応じた具体的なアドバイスを提供します。専門家の視点からの提案は、空き家の価値を最大限に引き出すヒントになるでしょう。

窓口:建築局住宅政策課(TEL: 045-671-4121)

空き家の改修支援

横浜市では、空き家を地域の資源として有効活用するために、改修費用の一部を補助する制度も設けられています。

空家の改修等補助金(地域貢献[簡易改修]型)は、「地域活性化に貢献する施設」の設置促進を目的とした制度です。子育て支援施設、高齢者支援施設、コワーキングスペースなどへの転用を検討している場合に活用できます。

補助対象となる費用は以下の通りです:

  • 内外装等の改修工事費
  • 耐震シェルター設置工事費
  • 外構工事費
  • DIYによる改修の際の建築材料費
補助率 補助上限額 窓口
対象経費の1/2 100万円 建築局住宅政策課(TEL: 045-671-4121)

省エネ住宅住替え補助制度

環境に配慮した住まいへの転換を促進するため、省エネ住宅住替え補助制度(リノベ型)が設けられています。この制度は、子育て世帯等が既存住宅を断熱改修(ZEHレベル以上)して住み替える際の費用を補助するものです。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、エネルギー消費量を削減した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅のことです。

補助内容 金額
基礎額 70万円
市外から転入した場合の加算 30万円
再エネ設備を設置した場合の加算 50万円
最大補助金額 150万円

窓口:建築局住宅政策課(TEL: 045-671-2922)

相続空家の売却に関する税制優遇

相続した空き家の処分を検討している方には、税制面での優遇措置も設けられています。空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続した空家(敷地を含む)または解体後の敷地をおおむね3年以内に譲渡した場合等に適用される可能性があります。

適用条件

  • 相続直前まで当該家屋に被相続人が一人で居住していたこと
  • 令和9年12月31日までに譲渡すること
  • その他の要件を満たすこと

この特別控除を受けるためには、税務署への申告が必要です。適用条件や申告方法について詳しく知りたい場合は、建築局住宅政策課(TEL: 045-671-4121)に相談することをお勧めします。

建築物の解体支援

老朽化した空き家の解体を検討している場合、以下の補助制度が利用できます。

住宅除却補助事業

昭和56年5月末以前に建築確認を得て着工された木造住宅を対象に、解体工事に要する費用を補助する制度です。耐震基準が現在の基準と異なる旧耐震基準の建物が主な対象となります。

世帯区分 補助上限額 備考
課税世帯 20万円 床面積、見積金額による補助額設定あり
非課税世帯 40万円 床面積、見積金額による補助額設定あり

なお、長屋や共同住宅の「空家・貸家」については、倒壊のおそれがある空家と判定されたものを除き、補助対象外となる点に注意が必要です。

窓口:建築局建築防災課 耐震事業担当(TEL: 045-671-2943)

建築物不燃化推進事業

昭和56年5月末以前の建築物など、老朽建築物の解体工事に要する費用を補助する制度です。この制度は、不燃化を推進することで災害に強いまちづくりを目指すものです。

補助上限額 備考
150万円 床面積、見積金額による補助額設定あり

窓口:都市整備局 防災まちづくり推進課(TEL: 045-671-3595)

まとめ:支援制度活用のポイント

横浜市の空き家支援制度を有効に活用するためのポイントは以下の通りです。

  1. 目的に合った制度の選択:空き家を活用したいのか、解体したいのか、売却したいのかによって、最適な支援制度が異なります。
  2. 専門家の活用:無料の専門家派遣制度を利用して、プロの視点からのアドバイスを受けることが効果的です。
  3. 地域貢献の視点:空き家を地域活性化に貢献する施設に転用する場合、より手厚い支援が受けられる傾向があります。
  4. 環境配慮型のリノベーション:省エネ改修を行うことで、補助金だけでなく、将来の光熱費削減にもつながります。
  5. 早めの情報収集と相談:各制度には申請期限や予算の制限がある場合があるため、早めに相談することが重要です。

横浜市の空き家に住む際の注意点

横浜市の空き家だったマンション

横浜市の空き家を購入して住むことを検討されている方のために、横浜市ならではの特徴と注意点をまとめました。空き家再生の際には、地域特性を理解することで、より快適な住まいづくりが可能になります。

傾斜地・高低差への対応

横浜市は丘陵地が多く、傾斜地に建つ物件が少なくありません。特に中区、西区、保土ケ谷区、磯子区などのエリアでは、高低差のある土地に建つ空き家が多く見られます。

  • 基礎・地盤の確認: 傾斜地の物件は地盤沈下や擁壁の劣化リスクが高いため、購入前の専門家による調査が必須です
  • アクセス性: 階段が多い立地では、日常の買い物や高齢時の生活に不便を感じることがあります
  • 災害リスク: 土砂災害警戒区域内に位置する空き家もあるため、ハザードマップでの確認が重要です

古い市街地特有の狭小地と接道問題

横浜市内、特に市中心部や旧市街地エリアでは、接道不良や狭小地に建つ空き家が存在します。建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たさない物件は、建て替えに制限がかかります。

  • セットバック義務: 幅員4m未満の道路に面している場合、道路中心線から2mの位置まで後退が必要です
  • 再建築不可物件: 中には法的に建て替えができない空き家も存在するため、事前確認が必須です

歴史的建造物・景観保全地区の規制

横浜市には山手地区や元町、関内など歴史的な街並みが残るエリアがあります。これらの地域では景観保全のための条例や規制があり、外観の改修やリノベーションに制限がかかる場合があります。

  • 景観保全地区: 外壁色や屋根形状などに規制がある場合があります
  • 歴史的建造物: 登録有形文化財などに指定されている場合、改修には文化財部局との協議が必要です

交通騒音・生活環境

横浜市は国際港湾都市であり、主要幹線道路や鉄道、港湾施設などが多いという特徴があります。

  • 幹線道路沿い: 首都高速道路や国道沿いの物件では騒音・振動・排気ガスの影響を受ける場合があります
  • 港湾近く: 港湾地区近くでは、船舶のエンジン音や貨物の積み下ろし音が聞こえることがあります
  • 工業地域との混在: 鶴見区や金沢区などでは工場と住宅が混在するエリアがあります

横浜市特有の地域コミュニティ

横浜市では地域によって自治会・町内会の活動が活発なエリアがあります。空き家を購入して移住する際には、地域コミュニティへの参加が期待される場合もあります。

  • 自治会費・町内会費: 地域によって月額300円〜1,000円程度の費用が発生します
  • 地域行事への参加: お祭りや防災訓練などの地域行事があります
  • 共同清掃活動: 道路や公園の清掃活動が定期的に行われるエリアもあります

神奈川県住宅供給公社の調査によると、「横浜市内の空き家所有者の約65%が地域コミュニティとの関係性に不安を感じている」という結果も出ており、地域との関わり方は重要な検討ポイントです。

行政サービスとの関係

横浜市は18区に分かれており、区ごとに行政サービスや支援内容に若干の違いがあります。

  • ごみ出しルール: 区によってごみ収集日や分別方法が異なります
  • 防災対策: 各区の防災計画や避難所の確認が必要です
  • 子育て支援: 区ごとに特色ある子育て支援策があります

まとめ

横浜市の空き家に住む際は、地形的特徴(傾斜地・高低差)、法的制約(接道問題・景観規制)、生活環境(騒音・インフラ)、コミュニティ関係などを総合的に検討することが重要です。特に建物だけでなく立地環境や地域特性を十分に理解した上で購入を決断することで、後悔のない空き家活用が可能になります。

横浜市役所建築局住宅部住宅政策課の担当者は「空き家の再生には、建物自体の状態だけでなく、その地域の特性や将来性も考慮することが大切です」と述べています。事前の現地確認と専門家への相談を十分に行い、横浜市での新生活を実りあるものにしましょう。

横浜市の空き家の片付けなら遺品整理ドットコム

「空き家を見つけたけれど、中には荷物がいっぱい…」「片付けが大変でなかなか移住に踏み出せない…」「空き家を売りたいけど、まずは中身を整理したい!」そんなお悩みはありませんか?

遺品整理ドットコムなら、専門のスタッフが不要品の仕分けから処分までトータルでサポート!

  • まるごと片付け対応:家具・家電・生活雑貨など、一軒まるごと対応可能
  • 買取サービスあり:使える家具や家電は買取対応でお得に処分
  • 全国対応&最短即日:地方の平屋でもご相談OK!

時間も手間もかかる空き家の片付け。
スムーズに進めるなら、まずは無料相談から!

まとめ

横浜市の空き家問題は、地域社会にとって大きな課題である一方、売却・購入双方にとってさまざまな機会も提供しています。この記事でご紹介した情報を参考に、空き家に関する取り組みを検討していただければ幸いです。

売却希望者へのポイント

空き家を所有されている方は、適切な価格設定物件の整理・清掃が売却成功の鍵となります。横浜市では空き家バンクは現時点で提供されていませんが、不動産会社の仲介や買取業者の活用など、複数の選択肢を検討することをお勧めします。

また、解体費用の補助金など横浜市の支援制度を活用することで、経済的負担を軽減できる可能性があります。特に条件を満たす場合は、補助金申請を積極的に検討しましょう。

購入希望者へのポイント

空き家購入を検討されている方は、物件の状態を慎重に確認し、リノベーションにかかる費用も含めた総合的な判断が重要です。横浜市内のエリアによって相場や特性が異なるため、地域に精通した専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

改修支援制度を活用することで、購入後の負担を軽減できる可能性もあります。特に地域交流スペースなど公益性の高い活用を検討されている方は、積極的に支援制度の申請を検討しましょう。

今後の相談先

空き家に関するご相談は、以下の窓口が参考になります:

  • 横浜市建築局住宅政策課:空き家支援制度に関する相談
  • 不動産関連の専門家(宅地建物取引士、建築士など):売買や改修に関する具体的なアドバイス
  • 法律の専門家:相続や権利関係に関する相談

最後に

空き家問題は単なる不動産取引ではなく、地域コミュニティの活性化や都市計画にも関わる社会的課題です。適切な知識と準備を整えることで、所有者にとっても、購入希望者にとっても、そして地域社会にとってもWin-Winの解決策を見出すことができるでしょう。

横浜市の支援制度は定期的に見直されることがありますので、最新情報は横浜市の公式ウェブサイトでご確認ください。空き家の有効活用を通じて、より魅力的で持続可能な横浜のまちづくりに貢献していきましょう。

How useful was this post?

Click on a star to rate it!

Average rating 0 / 5. Vote count: 0

No votes so far! Be the first to rate this post.

コメント

タイトルとURLをコピーしました