京都市の空き家を買いたい！売りたい！【完全ガイド】

京都の古い町並みを歩いていると、風情ある伝統的な家屋が立ち並ぶ中に、時折シャッターが閉まったままの家や、少し手入れが行き届いていない家を見かけることがあります。これらは「空き家」と呼ばれる物件であり、近年京都市でも大きな社会問題となっています。

京都市の空き家率は約12.5%に達しています。京都市では京都市空き家対策室というサイトを立ち上げて、京都市独自で空き家の撲滅に向けて動いています。

この記事では、空き家の売却を考えている所有者の方、また京都市内の空き家の購入を検討している方、双方に役立つ情報をまとめています。

京都市で空き家の売買や活用を考える際には、一般的な不動産取引とは異なる京都特有の事情や制度を理解しておくことが大切です。特に、伝統的建造物や町家については、文化的価値を損なわない形での改修が求められることもあります。

次章からは、空き家の売却や購入、活用に関する具体的な方法や制度について詳しく解説していきます。京都市の充実した支援制度を活用することで、空き家問題の解決と、京都ならではの魅力ある住まいづくりの両立が可能になるでしょう。

京都市の空き家を売却したい

京都市で空き家をお持ちの方にとって、その活用や処分は悩ましい問題かもしれません。しかし、京都市は空き家対策に積極的に取り組んでおり、所有者をサポートする様々な制度が整っています。ここでは、空き家を売却したい所有者の方向けに、具体的な方法や注意点をご紹介します。

空き家バンクの活用方法

京都市空き家バンクは、空き家の所有者と利用希望者をマッチングするサービスです。京都移住ナビが運営する「京都市空き家バンク」に物件を登録することで、移住希望者や地域での活動を考えている方に情報を提供できます。

空き家バンクに登録するメリットは以下の通りです：

• 自治体が運営するため安心感がある
• 登録料が無料
• 地域活性化に貢献できる
• 京都市の公式サイトで物件が紹介される

登録方法は簡単です。京都市空き家バンクのホームページから申込書をダウンロードし、必要事項を記入して提出するだけです。その後、担当者による現地確認を経て、バンクに登録されます。

「京都市空き家バンクは、空き家の有効活用と地域コミュニティの活性化を目的としています。単なる不動産取引の場ではなく、京都市の地域特性を活かした持続可能なまちづくりの一環として位置づけられています」（京都市空き家対策室）

空き家売却の方法比較

空き家を売却する方法は複数あります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

売却方法	メリット	デメリット	適している人
不動産業者への仲介依頼	・専門家のサポートが受けられる ・広告宣伝を任せられる ・価格査定が的確	・仲介手数料が発生 ・売却期間が長くなる場合がある	・確実な取引を望む人 ・手続きを任せたい人
空き家バンク	・登録料無料 ・自治体の信頼性 ・地域貢献になる	・買い手が限定的 ・成約までに時間がかかる場合がある	・地域活性化に関心がある人 ・急いで売る必要がない人
不動産買取	・最短数日で売却可能 ・現状のままで売却できる ・確実に売却できる	・市場価格より安くなりがち ・買取業者選びが重要	・早急に売却したい人 ・リフォーム費用を避けたい人
個人売買	・仲介手数料が不要 ・売主の意向を直接伝えられる	・専門知識が必要 ・トラブルリスクが高い ・買い手探しが大変	・不動産取引の知識がある人 ・時間的余裕がある人

京都市の空き家活用・流通補助金制度

京都市では、空き家の活用・流通を促進するため、令和7年度限定で補助金制度を設けています。この制度は、空き家所有者の経済的負担を軽減し、空き家の売却や適切な処理を促進することを目的としています。

補助メニュー①：空き家売却時の仲介手数料補助

補助対象建築物	補助対象者	補助額	申請期間
・一戸建てまたは長屋建て ・昭和64年1月7日以前に建築 ・延べ床面積が200㎡以下 ・個人が所有 ・売却時に居住・使用していない （売却の直前まで居住・使用していたものも対象）	売却した空き家の元所有者	仲介手数料×1/2 （上限25万円） ※京都市内に本店または主たる事務所を置く不動産事業者に支払われた仲介手数料が対象	令和7年4月1日から 令和8年3月13日まで ※予算がなくなり次第終了

補助メニュー②：空き家の解体工事費補助

補助対象建築物	補助対象者	補助額	申請期間
・一戸建てまたは長屋建て（重層長屋を除く） ・昭和64年1月7日以前に建築 ・敷地面積が①50㎡以下または ②建ぺい率に応じて定める面積以下 ・個人が所有 ・現に居住・使用していない （申請の直前まで居住・使用していたものも対象）	空き家の所有者、法定相続人 ほか	解体工事費×1/3 （上限60万円） 解体後、敷地を隣地と一体利用する 場合は最大20万円加算	令和7年4月1日から 令和8年1月30日まで ※予算がなくなり次第終了

注意：令和11年度から空き家などへの新たな税金「非居住住宅利活用促進税」の課税が開始される予定です。早めの対応が推奨されています。

高値で売却するためのポイント

京都の空き家は、その歴史的・文化的価値を活かすことで高値売却につながる可能性があります。以下のポイントに注目しましょう。

1. 京都らしさを活かした改修

京都の伝統的な町家や古民家は、適切な改修で価値が高まります。梁や柱などの骨組み、坪庭、格子窓といった京都らしい要素を残しつつ、水回りや断熱性能など現代の生活に合わせた改修を行うことで、魅力的な物件になります。

2. 耐震補強の実施

築年数の経った建物は耐震性に不安がある場合が多いですが、京都市では耐震改修に対する補助金制度があります。耐震診断と必要に応じた補強工事を実施しておくと、売却時の安心材料になります。

3. 不用品の片付け・清掃

売却前には徹底的な片付けと清掃を行いましょう。特に長年使用していない空き家は、汚れやカビが目立つことがあります。第一印象は価格交渉に大きく影響しますので、内外装をきれいにしておくことが重要です。

4. 適切な価格設定

複数の不動産業者に査定を依頼し、相場を把握しましょう。高すぎる価格設定は売却期間の長期化につながります。立地条件や建物の状態、周辺環境などを総合的に判断した適正価格を見極めることが大切です。

京都市での空き家売却に関する注意点

1. 文化財保護に関する規制

京都市内、特に都心部では歴史的建造物や景観保全に関する規制が厳しい場合があります。重要伝統的建造物群保存地区内や景観重要建造物に指定されている場合は、改修や取り壊しに制限があることを理解しておきましょう。

2. 接道条件の確認

京都の古い町家は、現在の建築基準法の接道要件（2m以上の道路に4m以上接していること）を満たしていないケースがあります。これは「既存不適格建築物」として扱われ、大規模な改修や建て替えの際に制限を受ける可能性があります。

3. 相続関係の整理

長年放置されていた空き家は、相続関係が複雑になっているケースが少なくありません。売却前に相続人全員の同意を得て、権利関係を明確にしておくことが重要です。

4. 地元コミュニティへの配慮

京都の町内会や自治会は結束が強いことで知られています。空き家を売却する際は、新しい所有者が地域コミュニティと良好な関係を築けるよう、町内会長などに事前に相談しておくことも大切です。

まとめ

京都市の空き家を売却する際は、その歴史的・文化的価値を理解し、適切な方法で進めることが重要です。空き家バンクや各種補助金制度を活用しながら、物件の価値を最大限に引き出す工夫をしましょう。特に令和7年度限定の補助金制度は、空き家の売却や解体を検討している方にとって大きなメリットとなります。

また、将来的に導入される予定の「非居住住宅利活用促進税」を考慮すると、早めの対応が賢明です。京都市空き家相談窓口（075-231-2323）では、空き家の活用や売却に関する専門的な相談を受け付けていますので、お悩みの際はぜひ活用してください。

3. 空き家を購入したい人向け情報

京都市内の空き家の購入を検討されている方に向けて、活用できる制度や探し方、注意点についてご紹介します。歴史ある京都の町家や伝統的な家屋を手に入れることは、単なる不動産購入以上の価値があります。京都市は空き家の有効活用を推進するため、様々な支援制度を設けています。

京都市の空き家探しの方法

空き家バンクの利用方法

京都市空き家バンクは、市内の空き家の売買・賃貸情報を集約したプラットフォームです。「京都移住ナビ」のウェブサイトから閲覧・登録が可能で、市が運営する公的なサービスなので安心して利用できます。

空き家バンクを利用するには以下の手順を踏みます：

1. 会員登録: 「京都移住ナビ」のサイトで利用者登録を行う
2. 物件検索: 地域や価格帯、建物の種類などで条件を絞り込む
3. 問い合わせ: 興味のある物件があれば、サイトを通じて問い合わせる
4. 現地見学: 所有者や不動産業者と調整して実際に物件を見学する

「京都移住ナビの空き家バンクでは、一般の不動産市場には出回らない歴史的価値のある町家なども見つけることができます。地域コミュニティとのつながりも大切にしている物件が多いのが特徴です。」 ―京都市空き家対策室

不動産業者の活用法

空き家バンク以外にも、京都市内の不動産業者を通じて空き家を探すことができます。特に古民家や町家に強い専門業者もあり、そのような業者は物件の歴史的価値や改修のポイントについても詳しいアドバイスをくれます。

京都の空き家専門の不動産業者を選ぶポイント：

• 町家や古民家の取り扱い実績があるか
• リノベーション事例や実績が豊富か
• 地域の文化や歴史についての知識があるか
• 改修補助金などの制度に詳しいか

現地見学時のチェックポイント

京都の空き家、特に古い町家などを見学する際は、一般的な不動産とは異なるチェックポイントがあります。

主な確認事項：

• 構造上の問題: 柱や梁の状態、傾き、床下や小屋裏の状況
• 防災面: 耐震性、防火対策、避難経路
• 伝統的な価値: 建具や意匠、歴史的価値のある部分
• 設備の状況: 水回りの状態、電気配線、断熱性能
• 周辺環境: 観光客の往来、交通アクセス、生活インフラ
• 法的制限: 景観条例、高さ制限、用途地域の確認

京都の町家は通り庭や坪庭など独特の構造をもつものが多く、それらの価値や維持方法についても理解しておくことが大切です。

京都市に空き家を購入する際の注意点

京都独特の環境や規制について、購入前に確認しておくべき点があります。

観光地としての側面：

• 観光シーズンは周辺が混雑する可能性がある
• 特に人気エリアでは騒音や交通渋滞の問題も
• 民泊やゲストハウスが多いエリアもある

景観規制と建築制限：

• 京都市は景観保全条例が厳しく、外観の改修に制限がある場合がある
• 高さ制限や色彩制限が厳格
• 歴史的建造物の場合、改修方法に制約があることも

生活環境：

• 観光客向けの店舗が多く、日用品の買い物に不便な地域もある
• 古い建物特有の断熱性能の低さ（夏暑く冬寒い）
• 町家は通り庭構造のため、プライバシー確保の工夫が必要

地域コミュニティ：

• 京都の古い町並みでは、町内会や地域の行事が活発
• 伝統的な地域では新規住民の受け入れに時間がかかることも
• お祭りや清掃活動などの地域活動への参加が期待される

このような京都ならではの特性を理解した上で、空き家購入を検討することが大切です。事前にその地域に住む方の話を聞いたり、一定期間滞在してみるなどして、実際の生活環境を確認することをおすすめします。

京都市の空き家対策室について

京都市では空き家問題に積極的に取り組むため、専門部署として「空き家対策室」を設置しています。この部署は単なる行政窓口ではなく、空き家の所有者や購入希望者にとって強力な支援機関となっています。

空き家対策室の役割と支援内容

京都市空き家対策室は、増加する空き家の有効活用と適正管理を促進するために2013年に設立されました。空き家の発生予防から活用・流通促進、管理不全の解消まで一貫した支援を行っています。

主な役割は以下の通りです：

1. 空き家の実態調査と情報収集

   • 市内の空き家の状況把握と分析
   • 空き家に関するデータベースの構築

2. 所有者への適正管理の指導・啓発

   • 管理不全空き家の所有者への助言・指導
   • 「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく対応

3. 空き家の利活用促進

   • 空き家バンク運営支援
   • 各種補助金制度の案内と申請サポート

4. 総合的な相談対応

   • 所有者、購入希望者双方への専門的アドバイス
   • 関連機関との連携による問題解決支援

空き家対策室のウェブサイトでは、これらのサービスについて詳細な情報が提供されており、オンラインでの相談予約も可能です。

相談窓口の活用方法

空き家に関する悩みや疑問は、まず京都市空き家対策室に相談することをおすすめします。相談は完全無料で、空き家の専門家が対応してくれます。

オンライン相談サービス

京都市では、お住まいから直接相談できるオンライン相談サービスも提供しています。

項目	内容
利用システム	Zoom（ウェブ会議システム）
相談時間	1組あたり40分以内
開催可能日時	平日 午前9時30分～11時30分、午後1時30分～午後5時（土・日・祝日・年末年始を除く）
対象者	京都市内に不動産を所有する方、管理者（将来、相続人になる方も含む）
申込方法	事前予約制（申込日から2週間以降の希望日を指定）
費用	無料

※Zoomの操作方法等については各自で対応いただく必要があります ※対面での相談をご希望の場合は、各区役所・支所での相談会も開催されています

空き家相談員による不動産無料相談会

京都市では「まちの不動産屋さん」を「京都市地域の空き家相談員」として登録し、市内全ての区役所・支所において空き家相談員による不動産無料相談会を開催しています。

開催情報

開催会場と日程

開催曜日	会場	開催予定日（令和7年度）
第1火曜日	上京・中京・東山・山科・西京区役所、深草・醍醐支所	4月1日、6月3日、7月1日、8月5日、9月2日、10月7日、11月4日、12月2日、2月3日、3月3日
第1木曜日	北・左京・下京・右京・伏見区役所	4月3日、5月1日、6月5日、7月3日、8月7日、9月4日、10月2日、11月6日、12月4日、2月5日、3月5日
第1木曜日	南区役所、洛西支所	4月3日、7月3日、10月2日、2月5日

※お住まいの行政区に関わらず、どの会場でも相談可能です

相談時間

全3回（相談時間は1組あたり40分間）

• (1) 午後1時30分～2時10分
• (2) 午後2時20分～3時
• (3) 午後3時10分～3時50分

申込方法

• 申込期間：開催日の前月1日から開催日の5日前まで
• 申込先：京都いつでもコール（年中無休、午前8時から午後9時まで）
  • 電話：075-661-3755
  • FAX：075-661-5855
  • 申込フォーム：京都いつでもコールの申込フォームから

申込時には、お名前（ふりがな）、電話番号、希望日時、会場、不動産の住所、不動産の概要、相談の概要をお伝えください。

対象者

京都市内の不動産について

• 所有する方
• 将来相続人になる方
• 管理を任されている方（及びその御家族）

相談可能な内容の例

• 相続した空き家をどうしたら良いか
• 空き家への補助金について
• 特定空家等に認定される前に対策を取りたい
• 空き家の売却・賃貸に関するアドバイス

相談時の持ち物として、登記書類や図面・写真等を持参いただくと、より具体的な相談対応が可能です。令和5年度に実施した相談会参加者へのアンケートの結果、約96％の方が参考になったと回答しています。

「最初は相続した京町家をどうすればいいか全く見当がつかなかったのですが、空き家対策室の相談員さんが親身になって話を聞いてくださり、空き家バンクへの登録から改修補助金の申請までサポートしていただきました。おかげで古い町家を再生して若い家族に住んでもらえることになりました。」（60代・空き家所有者）

京都市で空き家を持つ・購入する際の注意点

京都市は歴史的な街並みや伝統的な建築物が多く存在する特殊な地域です。空き家の所有・購入を検討する際には、以下の点に特に注意が必要です。

1. 景観規制への対応

   • 京都市には厳しい景観条例があり、外観の改修には制限がある場合があります
   • 特に歴史的景観保全地区や美観地区では、建物の色彩や高さ、看板の設置などに制限があります

2. 古い建物特有の問題

   • 京町家などの伝統的建築物は耐震性に課題がある場合が多い
   • 防火対策が現代の基準に満たないケースも多い
   • 改修には通常の住宅より高額な費用がかかることがある

3. 狭小な道路や敷地

   • 京都の旧市街地は道路が狭く、自動車の出入りや緊急車両の進入が難しい場合がある
   • 再建築不可の物件も存在するため、購入前の確認が重要

4. 行政手続きの複雑さ

   • 補助金申請や許可申請など、複数の手続きが必要になる場合がある
   • 手続き完了までに時間がかかることを考慮した計画が必要

これらの問題に対応するためにも、空き家対策室の専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぎ、円滑に空き家の活用や売買を進めることができます。

京都市空き家対策室は、単なる行政窓口ではなく、空き家に関するワンストップサービスを提供する貴重な存在です。空き家の問題は複雑で多岐にわたりますが、まずは気軽に相談してみることで、解決への第一歩を踏み出すことができるでしょう。

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まとめ

京都市では空き家問題への対策として、様々な支援制度を整えています。空き家所有者は「京都移住ナビ」の空き家バンクに登録することで、新たな買い手とのマッチング機会を得られます。売却を検討する場合は、不動産業者への依頼、空き家バンクの活用、個人売買など複数の選択肢があり、それぞれメリット・デメリットを比較検討することが大切です。高値売却を目指すなら、京都特有の歴史的価値を活かした修繕・改修がポイントとなります。

一方、購入希望者には空き家バンクや不動産業者を通じた物件探しの方法があり、京都市は購入後の活用に対して様々な助成金制度を用意しています。耐震改修や省エネ改修など目的別の補助金を活用することで、リノベーションコストを抑えられる可能性があります。

京都市空き家対策室では相談窓口を設け、無料相談会やセミナーを定期的に開催しています。空き家の活用事例も豊富で、ゲストハウスやコワーキングスペース、店舗兼住宅など多様な再生方法が考えられます。

空き家の売却・購入を検討している方は、まず京都市空き家対策室への相談から始め、充実した支援制度を活用することをおすすめします。京都ならではの魅力ある空き家の新たな活用方法を見つけ、地域の価値向上につなげていきましょう。