空き家を無料で貸し出したい！貸す方法と借りる際の注意点

日本では、少子高齢化や都市部への人口集中により、空き家の増加が深刻な問題となっています。総務省の調査によると、全国の空き家率は年々上昇しており、地域によっては住民がほとんどいない集落も見られるようになっています。

こうした状況の中、「空き家を無料で貸し出す」という取り組みが注目されています。これには、貸し出す側・借りる側の双方にメリットがあります。

貸し出す側：「放置すると維持管理が大変」「誰かに使ってもらいたい」と考えているオーナーにとって、無料貸し出しは空き家を有効活用する手段になります。
借りる側：「住む場所を探している」「安価に事業を始めたい」と考える人にとって、無料で空き家を利用できるのは大きな魅力です。

しかし、無料で貸し出す・借りるといっても、トラブルの回避や契約の明確化が重要です。例えば、以下のような問題が発生する可能性があります。

借主が物件を適切に管理せず、家がさらに傷んでしまう
口約束だけで貸し出し、後々のトラブルに発展する
近隣住民との関係が悪化し、地域での暮らしが難しくなる

本記事では、貸し出したい側・借りたい側の両方の視点から、「空き家を無料で貸し出す・借りる方法」について解説します。具体的には、以下の内容を取り上げます。

貸し出すメリット・デメリット
貸し出す際の方法や注意点
無料で借りる際の探し方や注意点
契約のポイントやトラブル回避策

この記事を読むことで、無料で空き家を貸し出す・借りる際の流れが理解でき、スムーズかつ安心して活用する方法がわかります。ぜひ、最後までお読みください！

空き家を無料で貸し出すメリット・デメリット
空き家を無料で貸し出す方法
無料で借りられる空き家を探す方法
借りる際の注意点
借りた後に気を付けること
まとめ

空き家を無料で貸し出すメリット・デメリット

空き家を無料で貸し出すことには、さまざまなメリットとデメリットがあります。特に、日本では少子高齢化や都市部への人口集中の影響で、地方を中心に空き家の増加が社会問題となっています。そのため、空き家を活用したいと考える人も増えていますが、無料で貸し出すことには慎重な検討が必要です。ここでは、空き家を無料で貸し出す「メリット」と「デメリット」について詳しく解説します。

メリット

1. 空き家の維持管理費を軽減できる

空き家を放置すると、固定資産税や維持管理費が発生します。特に、管理が行き届かないと、老朽化が進み、修繕費用が高額になる可能性があります。

費用項目	空き家を放置した場合	貸し出した場合
固定資産税	年間数万円〜数十万円	同額（変動なし）
修繕費	10年以上放置すると数百万円	借主が管理すれば軽減
清掃費	定期的な清掃が必要（業者委託で数万円）	借主が住めば発生しにくい

無料で貸し出すことで、借主が日常的に管理するため、維持費が削減できるのは大きなメリットです。

2. 老朽化を防ぎ、資産価値を維持できる

空き家は、長期間放置すると急速に老朽化します。例えば、換気や掃除が行われないと、湿気やシロアリによる被害が発生しやすくなります。しかし、借主が住んでくれれば、適切な管理が行われ、家の寿命が延びます。

3. 近隣住民との関係を良好に保てる

空き家が長期間放置されると、雑草の繁茂、不法投棄、犯罪の温床になる可能性があり、近隣住民から苦情が出ることがあります。無料で貸し出すことで、空き家に人の出入りがある状態を保ち、治安や景観の維持にも貢献できます。

4. 地域活性化に貢献できる

空き家を無料で貸し出すことで、移住希望者や地域での新しいビジネスを始めたい人に活用してもらえます。若い世代や移住者を呼び込むことで、地域経済の活性化にもつながります。

5. 固定資産税の「住宅用地特例」を維持できる

空き家でも「住宅用地特例」が適用されていれば、固定資産税が軽減されます。しかし、長期間使用されないとこの特例が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。借主が住んでくれることで、この税制優遇を維持できるのも重要なポイントです。

国土交通省: 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置

デメリット

1. 借主が適切に管理しないリスクがある

無料で貸すとはいえ、借主がどのように家を使うかは大きなリスク要因です。例えば、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

借主が清掃や修繕を怠り、老朽化が進む
近隣住民とのトラブルを引き起こす
不法転貸（また貸し）される

これらのリスクを避けるためには、契約書をしっかり作成し、管理責任を明確にすることが重要です。

2. 一度貸すと簡単に明け渡しを求められない

無料で貸し出した場合でも、借主が住んでいる限り簡単に退去を求めることはできません。日本の法律では、住居の貸し借りに関して借主の権利が強く保護される傾向があります。特に、「使用貸借契約（無償貸与契約）」の場合、契約終了後も借主が住み続けるケースがあり、立ち退きに時間や手間がかかる可能性があります。

3. 修繕費の負担が発生する可能性がある

無料で貸し出す場合でも、借主が家の修繕費を負担する義務はありません。そのため、以下のような費用が貸主側に発生する可能性があります。

修繕内容	費用の目安	負担者
屋根の補修	30万〜100万円	貸主が負担する場合が多い
給排水設備の修理	10万〜50万円	事前の契約次第
外壁塗装	50万〜150万円	原則として貸主

このように、大きな修繕費は貸主が負担するケースが多いため、事前に借主と負担範囲を決めておくことが重要です。

4. 貸し出し後のトラブル対応が必要になる

貸し出した後、借主と何らかのトラブルが発生する可能性があります。例えば、

家の設備が壊れた場合の対応
近隣住民からの苦情
借主の夜逃げ・未払い問題（光熱費や税金など）

貸し出し後も定期的に借主と連絡を取り、必要に応じて状況を確認することが大切です。

まとめ

空き家を無料で貸し出すことには、多くのメリットとデメリットがあります。特に、管理負担を減らし、資産価値を維持できるのは大きな利点ですが、一方で借主とのトラブルや修繕費用の問題も無視できません。 対策として、以下のポイントを押さえましょう。

契約書を必ず作成し、管理責任を明確にする
借主の選定を慎重に行う
修繕費や管理費の負担について事前に決めておく
定期的に家の状態を確認する

次の章では、実際に空き家を無料で貸し出す方法について詳しく解説します。

空き家を無料で貸し出す方法

日本では空き家の増加が社会問題となっていますが、無料で貸し出すことで空き家の劣化を防ぎ、地域の活性化につながる可能性があります。ここでは、空き家を無料で貸し出す具体的な方法について解説します。

1. 専用のマッチングサイトを利用する

空き家を無料で貸し出す場合、最も効率的な方法はマッチングサイトの活用です。これらのサイトでは、空き家の貸し手と借り手をつなぐ役割を果たし、スムーズな取引を可能にします。

主要なマッチングサイト一覧

以下に、空き家を無料で貸し出す際に活用できる代表的なサイトをまとめました。

サイト名	特徴	URL
空き家バンク	各自治体が運営し、地域密着型のマッチングが可能	全国空き家バンク
ジモティー	直接交渉ができる地域掲示板形式	ジモティー
みんなの0円物件	0円物件の情報を専門的に掲載	みんなの0円物件

空き家のマッチングサイトについては、【初心者向け】空き家マッチングサイトまとめ！の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください！

マッチングサイトを利用する際のポイント

物件情報をできるだけ詳しく記載する（築年数、状態、利用条件など）
写真を多く掲載する（外観・内装・周辺環境）
貸し出し条件を明確にする（修繕費の負担、管理義務など）
借り手と直接会う機会を設ける（トラブル防止のため）

2. 地元自治体の制度を活用する

多くの自治体では、空き家の利活用を促進するための補助金制度やマッチングサービスを提供しています。特に、地域によっては空き家を貸し出すことで税制優遇を受けられる場合もあります。

自治体の主な支援制度

空き家バンクの運営
- 無料で空き家情報を掲載できる
- 地域のニーズに合った借主とマッチング可能
修繕費補助
- 一定の条件を満たせば、修繕費の一部を補助
税制優遇
- 「特定空き家」に認定されると固定資産税が6倍に増加するリスクがあるが、適切な活用で税負担を軽減可能

自治体の活用方法

役所や自治体のホームページを確認する
空き家活用の窓口に相談する
補助金制度がある場合は申請を検討する
空き家バンクに登録し、貸し手を募集する

自治体の制度は地域ごとに異なるため、具体的な条件は各市町村に確認しましょう。

3. SNSや口コミを活用する

空き家の貸し出しには、インターネット上のマッチングサイトだけでなく、SNSや地域のネットワークを活用する方法もあります。特に、ジモティーやFacebookなどのプラットフォームは、地域密着型の情報発信に適しています。

活用できるSNSと特徴

SNS名	活用方法	特徴
X（旧Twitter）	「#空き家貸します」などのハッシュタグを活用	拡散力が高く、全国の人にアプローチ可能
Facebook	空き家関連のグループに投稿	地域ごとにコミュニティが存在し、信頼性が高い
Instagram	物件の写真を投稿	視覚的にアピールしやすい
LINEオープンチャット	地域の不動産関連グループに参加	特定地域の借主とダイレクトにやり取り可能

SNS活用のポイント

ターゲット層を明確にする（移住者、事業用、農業向けなど）
定期的に投稿し、情報を拡散する
コメントやDMの問い合わせに迅速に対応する
地域の不動産関係者や行政と連携する

SNSを活用すると、マッチングサイトでは出会えない借主とつながる可能性が広がります。

まとめ

空き家を無料で貸し出す方法には、以下のような選択肢があります。

マッチングサイトの活用（空き家バンク・ジモティー・0円物件サイト）
自治体の支援制度を利用する（補助金・税制優遇・マッチング支援）
SNSや口コミを活用する（X・Facebook・Instagram・LINE）

それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますが、複数の手段を併用することで、より適した借主と出会う可能性が高まります。まずは、空き家の状態や貸し出し条件を整理し、どの方法が最適かを検討してみましょう。

無料で借りられる空き家を探す方法

空き家を無料で借りたい場合、いくつかの方法があります。自治体が運営するサービスから、個人同士でやり取りする掲示板まで、選択肢はさまざまです。以下に、主な探し方を紹介します。

1. 空き家バンクを利用する

空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の情報を集めたマッチングサービスです。多くの自治体が参加しており、空き家の所有者と借りたい人をつなぐ役割を果たしています。

空き家バンクの特徴

自治体が関与しているため安心
無料や格安で提供される物件がある
地方移住や定住支援の補助金制度と連携している場合がある

空き家バンクの探し方

「○○市空き家バンク」と検索する
- 自治体ごとに運営しているため、住みたい地域の名前を入れて検索すると良い。
全国版のポータルサイトを利用する
- 全国の空き家バンクを横断的に検索できるサイトもある。

空き家バンクサイト	特徴
全国空き家バンク	全国の自治体の空き家情報をまとめて検索できる
各自治体の空き家バンク	地域密着型の情報が多く、自治体のサポートが受けられる

注意点

掲載されている物件数は自治体によって異なる。
すぐに借りられる物件が少ない場合もあるため、こまめなチェックが必要。

2. 0円物件サイトを活用する

近年、「0円物件」専門のサイトも登場しています。これらのサイトでは、所有者が維持管理の負担を減らすために、無料で貸し出したり、譲渡したりしている物件が掲載されています。

代表的な0円物件サイト

サイト名	特徴
みんなの0円物件	0円で貸し出し・譲渡する物件情報が集まる
ジモティー	「0円物件」カテゴリーがあり、個人間の取引ができる

0円物件サイトの活用方法

サイトに登録し、「0円」「空き家」などのキーワードで検索する
気になる物件の詳細をチェックし、オーナーに問い合わせる
契約内容や管理条件を確認し、慎重に進める

注意点

「無料」と言っても修繕費や維持費がかかる場合がある
契約書がない場合、トラブルになる可能性がある（使用貸借契約を交わすのが理想）

3. SNSや掲示板で直接オーナーに連絡する

最近では、SNSや地域掲示板を利用して空き家を貸し出すオーナーも増えています。特に、FacebookグループやTwitter（X）などでは、空き家を探している人と貸したい人が直接つながることができます。

探し方のポイント

Facebookで「空き家貸し出し」や「0円物件」などのキーワードで検索する
Twitter（X）で「#空き家無料貸し出し」「#0円物件」などのハッシュタグをチェック
ジモティーのような地域掲示板で「空き家募集」の投稿を探す

注意点

個人間のやり取りのため、契約をしっかり確認することが重要。
現地を訪問し、実際の状態を確認してから決める。

まとめ

無料で空き家を借りる方法には、自治体の空き家バンクや0円物件サイト、さらにはSNSや掲示板を活用する方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、慎重に情報収集しながら、契約内容や維持管理の負担を明確にすることが重要です。

自治体の空き家バンク → 安心感があり、補助金制度と連携している場合も
0円物件サイト → 手軽に探せるが、維持費や修繕費の確認が必要
SNS・掲示板 → 個人間で直接やり取りできるが、トラブル回避のため慎重に

無料で借りられる空き家を活用し、新たな住まいや地域活性化につなげていきましょう！

借りる際の注意点

無料で空き家を借りる際には、いくつかの注意点があります。単に「無料だからラッキー」と飛びつくのではなく、事前にしっかりと確認しないと後々トラブルに発展する可能性があります。本章では、借りる際の重要なポイントを詳しく解説します。

契約書の有無を確認する

無料であっても、空き家を借りる際には契約書の取り交わしが必須です。口約束だけで借りると、退去を突然求められたり、予想外の負担を強いられたりするリスクがあります。

契約の種類

一般的に、無料で物件を貸し出す場合は**「使用貸借契約」が結ばれます。これは無償で使用することを許可する契約**で、民法上のルールが適用されます。

契約の種類	特徴	こんなときに利用される
使用貸借契約	無償で物件を借りる際の契約。貸主が返還を求めれば基本的に応じなければならない。	無料で空き家を借りる場合
賃貸借契約	家賃を支払って借りる契約。借主に強い権利がある。	一般的な賃貸住宅

契約書には、以下のような項目を盛り込むと安心です。

貸し出し期間（いつまで借りられるのか）
修繕費の負担者（修理が必要になった場合、誰が費用を負担するのか）
退去時の原状回復（どこまで修復する必要があるのか）
光熱費や税金の負担（基本的に借主負担だが、事前に確認が必要）

契約書のひな形は法務局や自治体のHPでダウンロードできる場合もあるため、必ず確認しましょう。

修繕費や光熱費の負担を明確にする

無料で借りられる空き家の多くは、古くて修繕が必要な場合が多いです。そのため、修理が発生したときの負担を事前に確認しておくことが大切です。

修繕費用の目安

空き家を借りる際、よく発生する修繕費の目安を以下に示します。

修繕項目	費用の目安	備考
屋根の補修	10万円〜50万円	雨漏りがある場合は要確認
畳の張替え	5,000円〜10,000円/枚	6畳部屋で約3〜6万円
壁の補修（クロス張替え）	1,000円〜1,500円/㎡	カビや傷がある場合
水回りの修理	2万円〜20万円	トイレ・風呂・キッチンの故障対応

修繕費の負担がどちらにあるのかを、契約書でしっかり明確にしましょう。また、空き家は電気・水道・ガスが停止していることが多いため、契約前にライフラインの再開手続きが必要かも確認しておきましょう。

どの程度自由に使えるのかを確認する

借りた空き家をどう利用できるかも、重要なチェックポイントです。例えば、以下のようなケースがあります。

改装OKかどうか └ 自分で壁を塗り替えたり、DIYで改装できるかを確認
住居としての使用のみか └ 事業（カフェ・ゲストハウス）などに利用できるか
第三者への貸し出しは可能か └ Airbnbのように人に貸せるかどうか

貸主によってルールが異なるため、しっかり話し合うことが必要です。

近隣トラブルに注意する

空き家を借りた際、近隣住民との関係がスムーズにいくかも大切なポイントです。田舎や地方の空き家は、地域コミュニティの結びつきが強い場合があり、新しい住人が受け入れられるかは慎重に考える必要があります。

トラブルを避けるためのポイント

借りる前に近隣住民に挨拶をする（トラブル防止の第一歩）
騒音やゴミ出しのルールを事前に確認

借りた後に気を付けること

無料で空き家を借りることができたとしても、そこでの生活や使用にはいくつかの注意点があります。空き家の管理を怠ると、トラブルが発生したり、契約解除につながる可能性もあります。ここでは、借りた後に気を付けるべきポイントを解説します。

維持管理を怠らない

空き家は長期間使われていなかったため、劣化が進んでいる可能性があります。特に木造の家屋では、定期的な換気や清掃をしないと湿気によるカビやシロアリ被害が発生することがあります。

必要な維持管理の例

維持管理項目	目的	頻度
換気	湿気やカビの防止	週1回以上
掃除	ホコリや害虫の発生防止	月2回以上
雨漏りチェック	屋根や壁の劣化防止	雨天後
水道の通水	配管のサビ・異臭防止	週1回以上
庭の草刈り	近隣迷惑や害虫発生の防止	月1回以上

維持管理は少し手間がかかりますが、住環境を快適に保つために重要です。特に通水や換気は最低限行うべき項目なので、忘れずに実施しましょう。

オーナーと定期的に連絡を取る

空き家を無料で借りている場合、オーナーとの関係性が非常に重要です。勝手に改装したり、他人に転貸（また貸し）することは禁止されているケースがほとんどなので、何か変更を加えたい場合は、事前に相談しましょう。

連絡を取るべきタイミング

トラブルが発生したとき（設備の故障、雨漏り、近隣トラブルなど）
維持管理の報告（定期的な写真を送るとオーナーも安心する）
契約更新や退去の相談をする際（急な退去はトラブルになりやすい）

契約終了時に原状回復が必要か確認する

無料とはいえ、契約を終了する際には**原状回復（元の状態に戻すこと）**が求められる場合があります。特に、DIYで改装を行った場合や、破損が発生した場合には、元の状態に戻さなければならない可能性が高いです。

原状回復の負担が発生するケース

状況	借主の負担	負担なしの条件
自分で壁紙を貼り替えた	元に戻す必要あり	事前にオーナーの許可を得た場合
住んでいる間に設備が故障した	借主負担が多い	自然損耗（経年劣化）による故障
庭の雑草が放置され荒れてしまった	借主が手入れすべき	契約時に管理義務がなかった場合